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猛スピードで開発された新型コロナワクチンは、どう効くのか?

『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』より(後編)

 峰宗太郎、山中浩之

編集Y ウイルスベクターワクチン(以下ベクターワクチン)、あるいは核酸ワクチンは、「人間の身体のタンパク質製造システムを使って、ウイルスの成分を作ろう」という点で、ウイルスやその一部を外から打ち込もうとする生ワクチンや不活化ワクチン、そして成分ワクチンの「ワクチン3兄弟」とは考え方が大きく違う。

 はい。そして、特に核酸ワクチンは、コロナ禍が起きるまでヒト用の医薬品として承認されたことがなかったテクノロジーのワクチンなんですね。

編集Y あれ? 遺伝子治療にはこの技術は使われていなかったんですか?

 遺伝子治療はほとんどがウイルスベクターを使ったものなんです。核酸だけを打ち込む治療は、実現すればヒトでは初の承認になります(2020年12月8日英国で接種開始)。

編集Y あ、そうか。

2019年までは「遠い未来に実現するワクチン」だった

 ここは大事なポイントです。核酸ワクチンは動物実験ではうまくいっていて、しかも理論上は、うまくいくであろうこともよく分かっている。だけどヒトで承認されたものが販売されたことがないから、実地上の問題点の洗い出しは全然これからでした。

 2019年の秋ごろまでに核酸ワクチンについてのレビューがいくつも出ていまして「長い時間がかかるだろうけど、こういうワクチンもそのうち実現化されるよね」「明るい未来がそのうちやってくるよね」という内容だったんです。

編集Y まあ、筋は悪くないし、いつかはできる、と。

 でも実現には10年か20年はかかるね、と思っていたのが去年の秋ごろ。ところが、ここで新型コロナウイルスが来ちゃったんですよ。

編集Y ということは、核酸ワクチンは、新型コロナ以前はあまり注目されていなかったのでしょうか。

 実は、mRNAワクチン、DNAワクチンをヒト向けに作ってみようという試みは、感染症のワクチンとしては「SARS( 重症急性呼吸器症候群、2002年~)」や「MERS(中東呼吸器症候群、2012年~)」向けが最初だったといわれています。終息しつつあったり、症例数が少ないこともあって頓挫していたんですね。別の理由もあるんですが、とにかく開発はストップしていた。

 それがこの新型コロナウイルスの流行が起こったときに、「これはSARSコロナウイルスとそっくりなウイルスだから、今まで開発していた技術が応用できるぜ」ということで、ワクチンの研究者や、医薬品の企業が色めき立ったわけです。

技術進歩とSARSの知見により猛スピードで開発

編集Y なるほど、別の抗ウイルス薬を転用したのと同じで「スイッチできるのではないか」と。しかし、開発自体の壁は高くないんですか。

 難しいか簡単かと聞かれたら、簡単です。DNAやRNAなんて今のテクノロジーをもってすれば、合成するのに一晩、かからないわけです。3時間仕事なんです。しかもどの部分を合成して体に作らせればいいかなんてことも、以前に比べれば格段に簡単に分かるわけです。ウイルスのどの部分がヒトの細胞に侵入する際に使われるか(=ヒトの免疫系がウイルスのどの部分に反応するか)が分かれば、そこだけ作ればいいわけですから。

編集Y えーっと、「ウイルスのタンパク質のどの部分が必要か」ということはすぐ分かるものでしょうか。

 今回はSARSの知見もあり、比較的すぐに判明しました。主に「ウイルスの表面にある突起状のスパイクタンパク質(Sタンパク)の、ヒト細胞の受容体ACE2にくっつくところ」だと、あっという間に同定されています。

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