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猛スピードで開発された新型コロナワクチンは、どう効くのか?

『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』より(後編)

 峰宗太郎、山中浩之

 繰り返しになりますが、遺伝子治療というのは、我々の身体に足りない遺伝子を補ったり、壊れた遺伝子を修復したりするものですね。であれば、本来は体内に持っていない外来のウイルス(の一部)の成分を増やしてやることもできるだろう。そうすれば、その成分に対して免疫ができるはずだ、と考えられるわけです。つまり、この遺伝子治療に関わる遺伝子工学的技法をワクチンに使えるだろう、と、発想した人がいるんですね。

編集Y すげえな。

最新型のワクチンが、新型コロナ用で先行している

 さて、ここでようやく話が新型コロナワクチンにつながります。

編集Y おっ!

 新型コロナ用に、オックスフォード大学と英アストラゼネカが今回開発しているものはこの方法によるワクチンです。アデノウイルスを使った「AZD1222」。中国のカンシノ・バイオロジクスと北京バイオテクノロジー研究所も、同じようなやり方で「Ad5-nCoV」を開発しています。チンパンジーのアデノウイルスを使って、新型コロナの一部の遺伝子の設計図を我々の体の中に打ち込むと、アデノウイルスがどこかの細胞に感染させて、製造を行うんです。

編集Y どこかって、どこですか?

 どこかは知りません。知りませんというのは正確には研究者も分かっていないことがあり、また1種類の細胞とは限らないからです(笑)。

編集Y うわー、そうなんですね。

 さらに。

編集Y まだありますか!

 最近はドラッグ・デリバリー・システム(DDS)、薬を身体のどこにどのように届けるのかという技術がすごく発達しています。最も初歩的なものは例えば腸溶剤といって、普通、口からのみ込んだものは胃で溶けますけれども、そこでは溶けない細工をしてあって、腸まで行くと初めて溶けるんですね。さらには、特定の細胞に集まるように細工がしてあったりする。こういった技術進歩で、今までは体内の目的地に着くまでに分解されてしまったような大きな分子も、目的の細胞に届けることができるようになってきた。

 そうすると、遺伝子の設計図であるDNA(デオキシリボ核酸)だとか、DNAを転写して、具体的な指示書・命令書みたいに書き換えたRNA(リボ核酸)、これらをまとめて「核酸」と言いますが、核酸自体を身体に打ち込めば細胞の中に入れられる、という技術ができてきたわけです。

「核酸ワクチン」はDNA、RNAを直接細胞に送り込む

編集Y そうなると、もうウイルス(ベクター)に運んでもらう必要もない。

 そうです。アデノウイルス使う必要、ないだろうと、もうDNA、なんならもっと話が早いRNAをそのまま打っちゃえと、そういう発想になってきたんですね。RNAならば、目的の細胞に入った瞬間にそれがタンパク質に翻訳されて、それでウイルスの成分ができちゃう。RNAを打ち込めば、もともとのウイルスに感染したのと同じような効果が得られるはずだというところまで、わずかこの20年で進歩したんですね。こうやって作られようとしているのが、今回のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン、DNAワクチン、まとめて「核酸ワクチン」になってくるわけです。

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