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知っておきたい新型コロナワクチン 基礎の基礎

『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』より(前編)

 峰宗太郎、山中浩之

編集Y ある程度の個人差や、歳を取ったら劣化したりとかも?

 はい、それもあります。

編集Y マルかバツか、白か黒かじゃないんですね。免疫ができても、感染を防げないこともある。免疫系は人間ならみな持っていても、その能力には個人差や年齢差がある。

 はい。言葉通りの完全な「二度なし」ではないことを覚えておいてください。

正しく知りたい、「集団免疫」

編集Y ちょっといいですか。「集団免疫」という言葉がありますが、これは何なのでしょう。

 はい、うっかり説明し忘れるところでした。ワクチンは個人に「免疫」をつけさせると申し上げましたが、それと同時に社会が「集団免疫」を獲得するための、ほとんど唯一の現実的な手段なんです。

編集Y 社会の全員がワクチンを打って免疫を獲得する、という意味ですか。

 いえ、ワクチンを国民全員なり全人類が接種する、ということは、残念ですがあり得ませんし、その必要もないんです。要はその社会が「集団免疫」を獲得すれば良い。集団免疫とは何かというと、全員がまずは何の免疫状態もない人たちで構成されているという前提があって、なおかつ均一な「かかりやすさ」の人間集団であるという仮定を置くんですね。その集団は、理論上は「1 - (1 / R0)」という値。R0というのは基本再生産数(*1)です。この値まで免疫を持っている人の割合が達すると、集団の中でそれ以上感染症が広がらなくなる。これは理論的に導き出せるんです。

 新型コロナのR0が2ぐらいですから、1引く2分の1ということになると0.5。すなわち50%の人が免疫を持つと集団の中ではそれ以上感染が流行せず自然に止まる(*2)。

*1 集団のすべての人に免疫が付いていない状態において、1人の感染者から何人に感染させるかという平均値
*2 このメカニズムについての詳しい説明は、『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』の巻末にある参考書籍などをお読みください

編集Y 感染者が接触する人がすでに免疫を持っている可能性が、ウイルスの感染力を上回るポイントがあって、そこで「集団免疫」が成立するイメージですね。最近あまり見ませんが「だったら放っておいて、感染者が一定以上に増えればいいじゃないか」という考え方はどうなんでしょうか。

 R0を低めに2と見て、日本の人口を1億人と内輪に見ても5000万人ですよ。致死率を掛けたらどうなりますか。人口の半分が実際に新型コロナに感染するというのは、これはもう現実的ではないんですよね。自然感染によって免疫を獲得するということは絵物語である、というのが一般解です。

 アマゾンの奥地の小さなコミュニティで人口の8割近くが感染し、「自然感染で集団免疫が成立したのでは」という記事が医学誌に載っていましたが、こういうのは特殊解で、日本のような大きな国全体の一般社会に持ち込める話ではない。国の単位では無理だということを、スウェーデンが証明してしまったわけですね。

編集Y まさにそのスウェーデンの話を聞きたかったのですが……回り道が長くなりそうなので、別の機会にしましょうか。

 はい、ということで、集団免疫を達成する現実的な手段がワクチン、ということなんです。麻疹(はしか)や風疹というのは基本的には全人口が定期接種で打っていますので、大流行が起こらないんですね。そういう意味ではこれは集団免疫が確実に効いているんですよ。水痘なんかもそうですし、多くの感染症を抑えることに成功しているわけです。

編集Y でも、インフルエンザは?

 そう、インフルエンザはワクチンがあるのに集団免疫は確実にはついていないように見える。理由は2つあって、まずワクチンに感染を抑制するだけの力がない(ことが多い)。そして、そんなに多くの人が打ってくれていない。

編集Y ワクチンにはやっぱり効きの善し悪しがあるんですね。

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