どんな食事が病気の予防になるの? また、どんな習慣がアンチエイジングにつながるの? 世界中で進む、“健康”にまつわる研究について、注目の最新結果をご紹介します。
筋肉を健康に保つにはビタミンC摂取が大切

筋肉には、骨格に付着してこれを動かす「骨格筋」、内臓を構成する「平滑筋」、心臓を作っている「心筋」があるが、食事からのビタミンC摂取量が骨格筋量と関連していることが英国の研究で明らかになった。
骨格筋量は加齢に伴って減少し、筋力や身体機能の低下につながる。
研究は42~82歳の男女1万3000人以上を対象に行われた。骨格筋量は生体インピーダンス法で測定した。7日間に摂取した食べ物と飲み物をすべて食事日記に記録してもらい、ビタミンC摂取量を算出したところ、平均は男性89.8mg/日、女性93.7mg/日だった。血液中のビタミンC濃度の平均は男性56.9μmol/L、女性68.9μmol/Lで、ビタミンCが不十分な人(50μmol/L未満)は男性の34.7%、女性の16.8%を占めた。なお20歳以上の日本人のビタミンC摂取量は102mg/日と報告されている(平成30年国民健康・栄養調査結果)。
解析の結果、男女ともに、食事からのビタミンC摂取量が多い人ほど、また血中ビタミンC濃度が高い人ほど骨格筋量が多いことが確認された。食事からのビタミンCは果物、野菜、ジュースの順で多く摂取されていた。
研究者らによれば、骨格筋に必要な脂肪酸の代謝に関わるカルニチンや、皮膚や腱などを構成するコラーゲンの合成にビタミンCが重要であるという。加齢による筋肉減少を抑えるにはビタミンCの摂取も大切なようだ。
(J Nutr; nxaa221,2020)
緑の光が片頭痛を和らげる 痛みの日数が減り生活の質も向上
片頭痛は頭痛だけでなく、吐き気や嘔吐などの症状を伴い、また光に過敏になることもある。緑色の光を浴びることで頭痛の回数が減り、生活の質(QOL)も改善する可能性が米国の研究で示された。
対象は片頭痛のある患者29人(24~72歳)。このうち1カ月に15日以上の片頭痛がある22人を「慢性片頭痛」群、15日未満の7人を「一時的片頭痛」群とした。
最初の10週間は毎日1~2時間、白色発光ダイオード(LED)に当たってもらった。その後2週間あけて、緑色LED(波長525nm)に毎日1〜2時間当たってもらい、これを10週間続けた。
1カ月あたりの頭痛の日数を尋ねた結果、慢性片頭痛群も一時的片頭痛群も、白色LED照射前に比べて白色LED照射後は、頭痛日数は減少したが統計学的な違いはなかった。しかし全患者で解析すると、白色LEDにより頭痛日数は18.2日から16.5日に有意に減少した。一方、緑色LEDでは、一時的片頭痛群で頭痛日数が7.9日から2.4日に有意に減少、慢性片頭痛群でも22.3日から9.4日に有意に減少した。さらに緑色LEDは痛みの強さを軽減し、睡眠や日中の活動を改善し、総合的なQOLを向上させた。
緑色LEDの効果の理由ははっきりしないが、これまでの研究で光の色によって痛みの強さが変わることが指摘されている。特殊なメガネで赤色や青色の光を遮ると、片頭痛患者の痛みが低下したという報告もある。研究グループは緑色LEDのメカニズムや視覚系との関連性について今後の研究が必要であると述べている。
(Cephalalgia; 電子版Sep. 9,2020)