手元にスマートフォンがあると、つい見てしまい、気づくと30分!といった人も多いだろう。ただ、スマホの使いすぎによって脳が過度に疲れると、うつっぽくなったり、認知症に近い症状が出る危険もあるという。早稲田大学理工学術院教授の枝川義邦さんにスマホと脳の関係、脱「スマホ依存」法を聞いた。

ニュースサイトを見るだけのつもりが、張られたリンクで別の記事へ飛び、そこから広告のリンクを経由して、気づけばネットショッピングに1時間以上興じていた……覚えがある人もいるだろう。
スマホをなぜ使い続けてしまうのか。これまでゲームなども常習性の危険が懸念されていたが、早稲田大学理工学術院教授の枝川義邦さんは、スマホとこれまでのデジタルデバイスとの違いをこう指摘する。「持ち運びできて、いつでもどこでも、すぐ使い始められる。アプリケーションも豊富なので仕事もプライベートも問わず使える。使い続けたくなるしかけが散りばめられているので、四六時中向き合いかねない」。
スマホ依存度チェック
メモの代わりにスマホで写真
思い出せないことはすぐに検索
着信音の空耳が聞こえる
流行に乗り遅れるのが不安
会話中や食事中に、用事もないのに触る
浴室、ベッドにもスマホを持ち込む
スマホに没頭するあまり、大事な場面で失敗したことがある
通知が来たら、作業を中断して確認
まずは自分のスクリーンタイムをチェックしてみよう。その時間に驚くはずだ。「音楽を聴いている時間なども含まれるので一概には判断できないが、客観視するのには役立つ」と枝川さん。
(チェックは枝川さんによる)
なかでも、時間を忘れて使い続けてしまう代表例がSNSだろう。時間があると、ついSNSのアプリを開いてしまう人も多いはず。「これは脳の報酬系という神経ネットワークと関係している」と枝川さん。
報酬系が活性化すると脳の神経伝達物質であるドーパミンが放出される。ドーパミンはうれしさや喜びとも関わっているため、投稿に「いいね!」がつくなどしてドーパミンが放出されると、「もう一回味わいたい」と動機づけされる。アルコール依存症などと基本的な仕組みは同じで、その行動を繰り返すうちにさらに行動が強化される。その結果、SNSから離れがたくなり、スマホをますます手放せなくなる。
