順次再分析の予定だが栄養計算の現場はどうなる?
文部科学省科学技術・学術政策局政策課資源室によると、「(食品成分表には)2478の食品を収載している。限られた予算の中で、総でんぷん量が1%以上であることを判断基準として穀類、イモ類およびでんぷん類、菓子類などに属する食品から順次再分析する」とのこと。その結果が食品成分表に収載されるまでは、現状の食品成分表の数値が使われることになる。
食品成分表を用いて栄養計算を行う現場への影響は──。
東京慈恵会医科大学附属病院栄養部の管理栄養士、赤石定典さん は「当院では、白米や玄米は(どちらも同じP法で測定された)乾物ベースの数値を用いて計算しているので、その点は問題ない。しかし病院食に限らず、学校給食や外食産業では食品成分表の本体の成分値をもとに栄養計算を行うケースが多いだろう。異なる測定法で出てきた数値が混在すると、現場も一般の人も混乱するのではないか」と話す。
日本人の食物繊維摂取量が見た目だけ急増の落とし穴
厚生労働省が毎年発表する「国民健康・栄養調査」にも影響が及んだ。各栄養素の摂取量の算出には食品成分表を用いるが、今の食品成分表で計算するようになった最新の1日当たりの食物繊維摂取量は、前年より3.8g増の18.8gとなった。2000年代以降ずっと14~15gで推移してきたのに、見た目だけだが急に増えた印象だ(図)。

これについて「測っているものが違うから、2つの測定法のデータも、それをもとに算出した摂取量のデータも比較はできない」と青江教授は注意を促す。上図をよく見ると、米からの摂取量が計算上の変更で増えたため、全体を大きく押し上げたことがわかる。主食だけに食べている量が格段に多く、その影響が大きく出てしまったわけだ。
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