どんな食事が病気の予防になるの? また、どんな習慣がアンチエイジングにつながるの? 世界中で進む、“健康”にまつわる研究について、注目の最新結果をご紹介します。
毎日の食事にスパイスをプラス 体内の炎症を防ぐ可能性も

体内の長引く炎症は動脈硬化などの心血管疾患の一因といわれる。スパイスを食事に加えると、食後の炎症が抑えられることが、米国の研究でわかった。
太り気味か肥満で、高血圧や脂質異常などの心血管疾患のリスク因子を1つ以上持つ男性12人に、以下3種類の食事をそれぞれ別の日にとってもらった。飽和脂肪酸と炭水化物が多い食事(ココナッツチキンカレー、コーンマフィン、ビスケット)にスパイスを、(1)加えない、(2)2g加える、(3)6g加える。スパイスはターメリック、ジンジャー、シナモン、オレガノ、パセリ、バジル、黒コショウなどをブレンドした。
結果、スパイスを加えた食事、特に6gでは、加えない食事に比べて炎症マーカーは減少した。高脂肪、高炭水化物食が原因の体内の炎症は、スパイスの抗炎症作用で減少したようだ。
(J Nutr.; 150,1600-1609, 2020)
花のある暮らしが心的ストレスを和らげてくれる

花を見ると、不快な気持ちが減り、心的ストレスによる血圧上昇も回復しやすいことが農業・食品産業技術総合研究機構や筑波大学などの共同研究でわかった。
研究ではまず参加者に交通事故やケガ、暴力などの不快な画像を見せて心的ストレスを与え、その後、白のキクの花、青い空、あるいはイスの画像を見せた。すると、不快な画像で上昇した平均血圧は、花の画像を見た後では他の2つの場合に比べて有意に低くなった。
ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールの唾液中の値も、花の画像を見た後では有意に下がった。
さらに脳活動を測定したところ、花の画像を見たときは、花以外の画像に比べて、情動に関わる扁桃体と記憶に関わる海馬の領域の活動が低下していた。
花を見ることは、心的ストレスの原因となった不快な画像から気持ちをそらす効果があるのだろうと研究者らは言っている。
(J Environ Psychol.; 70,101445,2020)