どんな食事が病気の予防になるの? また、どんな習慣がアンチエイジングにつながるの? 世界中で進む、“健康”にまつわる研究について、注目の最新結果をご紹介します。
揚げ物が心臓の健康に影響 週に1皿の追加でリスクが上がる

脂っこい食事をとりすぎると心臓や血管の病気になりやすいことは知られている。天ぷらやフライなどの揚げ物の摂取が、心筋梗塞や心不全といった心血管疾患につながる可能性があることが、中国の研究グループによる複数の観察研究の解析で確認された。
2020年4月11日以前の論文の中から17研究(合計およそ56万人)を対象に、フライドポテトや魚のフライ、スナックなど、揚げ物の摂取量と心血管疾患リスク、死亡率との関連を調べた。
その結果、揚げ物の摂取量が最も多い群は、最も少ない群に比べて、心血管疾患のリスクが28%高かった。心血管疾患のうち、心筋梗塞や狭心症といった冠動脈疾患のリスクは22%、心不全は37%高かった。さらに心血管疾患、冠動脈疾患、心不全のリスクは揚げ物の摂取量が多いほど高くなり、週当たり1皿(約114g)増えると、リスクはそれぞれ3%、2%、12%上がることもわかった。しかし摂取量の増加で心血管系の死亡やすべての死因の死亡が増えることはなかった。
揚げ物の摂取で心血管疾患が増える原因ははっきりしないが、揚げ物は脂肪分が多く高カロリーであることや、揚げることで体内の炎症や酸化ストレスに関わる物質(コレステロール酸化物や終末糖化産物)が産生されること、また市販のフライドチキンやフライドポテトには塩分が多いことが、心血管疾患のリスクの上昇につながるのではないかとしている。
(Heart; 電子版Jan. 19,2021)
屋外に出て気分を変えよう コロナ禍の孤独感がやわらぐ
新型コロナウイルス感染症の流行が続く中、世界各地ではロックダウン措置などによる精神的な影響が心配されている。そんななか、オーストリアの研究で、屋外にいるときのほうが室内で過ごしたときより孤独感が少なく、幸福感を得られやすいことがわかった。
オーストリアで外出制限が出された2週間後の2020年4月6日に調査を開始。成人男女286人(平均31歳)を対象に精神的な健康感(well-being)について調べた。スマートフォンのアプリケーションを使って、21日間にわたり1日3回の質問に答えてもらった。「孤独感を感じるか」「幸せに感じるか」の質問に0(全く感じない)から100点(とても孤独・幸せ)で評価してもらい、そのとき屋外にいるか、室内にいるかも尋ねた。1日の終わりには、コンピュータ(PC)やスマートフォン、テレビなどの画面の前に何時間いたかを尋ねた。
その結果、屋外にいるときのほうが幸福感は高く、スマートフォンなどの画面を見て過ごす時間は少なかった。反対に、画面を見ていた時間が長いことと孤独感の強さは関連し、また幸福感の低さとも関連していた。屋外にいると幸福感が平均で3.6点上がり、画面を見た時間が1時間増えると幸福感は0.3点下がった。
画面を見ていた時間には、仕事や勉強のためにPCなどを使用した時間だけでなく、友達とのコミュニケーションなどの余暇に使用した時間も含まれる。後者の場合は精神的な健康に良さそうだが、外出制限下においては、有害な影響がそれを上回り、孤独感をやわらげるものにはなっていないようだ。
(J Happiness Stud.; 電子版Jan.2,2021)