年齢とともに、やる気や気分の浮き沈みが激しくなったり、いつもより傷つきやすい状態になることが増えたという人は少なくないのではないでしょうか。こんなとき、まじめな人ほど「どんなときも首尾一貫した態度をとるべき」「仕事への意欲はキープすべき」などと考えがちですが、元・陸上自衛隊心理教官の下園壮太さんは、「ムラがある自分を感じたときに、いたずらに原因探しをしたり、間違った対策をとることで、結果的に波を大きくしてしまう場合が多い」と言います。今回は、大波、小波にやられっぱなしにならないための対処法をお聞きします。

心の「波」にさらされると、やる気が低下し、傷つきやすくなる
中高年になると、いつも晴れ晴れとした気分をキープすることが難しくなってきます。ちょっとしたことでイライラしてしまったり、やたらと不安に感じたり…。うつっぽくなる、というほどではないけれど、小さなストレスでもその影響を以前よりも大きく受けて、心の浮き沈みを感じるようになってきた、という人も少なくないようです。
浮き沈みが気になり始めると、調子がいいときにも「今はいいけどまた落ちるのでは」と思ったり、しんどいときには「ずっとこの状態が続くのかな」と不安になったりも…。そこで今回は、心の浮き沈みの「波」についてお伺いしたいと思います。
下園さん 人間も生き物ですから、頑張った後は疲れるものだし、浮き沈みはあって当たり前なのですよ。でも、ことさらに「波」が気になる、というときには「一貫性を欠いてはならない」という価値観が強くなりすぎていないかな?と立ち止まってみてください。
そもそも人間は感情があるし、体調の変化もあるし、時々の都合もあるので、一貫しないものなのです。心身の状態は一貫したものでなければならない、と思いすぎると、つらくなります。「一貫しなければ」以外にも、下記のような思いが強すぎると、トラブルを感じやすくなります。
- 大人として、社会人として、やると言ったらやるべき。言行一致であるべき
- 約束は守るべき、うそをついてはいけない
- 仕事への意欲や情熱はずっとキープすべき
- いつも笑顔で、寛容でいなければならない
もちろんこれらは社会生活を営む際には大切な価値観ですが、この価値観にとらわれすぎると、「波があってはダメだ」と頑なに思うようになります。そして、予定通りに仕事がこなせなかったり、納期が遅れたり、ということで自分を責めるようになるのです。
「気持ちの波」は、中高年世代になると顕著になる、というようなことはあるのでしょうか。