「自分は、単に疲れているだけだったんだ」と気づくことによって、そのとき直面しているトラブルの大半は解決する、と話すのは、元・陸上自衛隊心理教官で心理カウンセラーの下園壮太さん。疲労は、抑え込んで「なかったこと」にしても、どんどん蓄積し、回復しにくくなります。それでも「簡単には休めない!」という方も多いはず。第6回では、まとまった休みをとることが難しいときに極めたい「自分にとって効果的な休み方」を見つけるコツをアドバイスしていただきます。

疲労を蓄積している人が増えている
前回記事の最後に、下園さんが「まずは疲労に気づくことが大切。気づけば、直面しているトラブルの5割は解決する」とおっしゃった言葉が印象に残っています。それほどまでに、疲労というものは人間関係や物事の捉え方に影響を及ぼすのか、と。
下園さん もしかしたら、それ以上かもしれませんよ(笑)。何らかのトラブルがある、という状態は人それぞれで、人間関係の問題、感情の問題、あるいは自分自身に自信をなくしてしまう、など、いろいろな側面があります。それについては今後、一つひとつお話ししていきましょう。これらのうち、どのような側面が前面に出てくるかは、そのときどきで異なるのですが、こういった自分の目に見えている問題の奥底に流れているのが、疲労なのです。
特に今年は、新型コロナによって身の回りに大きな環境変化があった方も多いと思います。自分を含め、周囲を見回しても「なんだか疲れる、意欲が湧かない」というような状態が常態化しているように感じるのですが、下園さんの感触はどうですか。
下園さん 前回、「蓄積疲労の3段階」という考え方を紹介しました(図1)。おさらいすると、第1段階は、休むことによって回復できるレベル。第2段階は、うつっぽくなるが、気合いでごまかすことができるレベル。第3段階は、うつ状態です。

クライアントと接していると、全体的に、今は通常に比べ第1段階の人が減り、第2段階の人が倍増している、それにともない第3段階の人も増えています(図2)。
