組織に属していると、予想もしていなかった部署に異動になったり、そりの合わない上司や同僚と毎日顔を合わせなければならなかったり、という悩みを抱きがち。年齢を重ねてくると、後輩が自分の上司になり、内心複雑な気持ちになる人もいるでしょう。自分の思うようにならない環境変化や人間関係に遭遇したとき、どのように状況と向き合い、気持ちを立て直していけばいいのでしょうか。元・陸上自衛隊心理教官の下園壮太さんにお聞きします。

不満や悔しさを押し殺さねば、というのがそもそも「思い込み」
今回は、予期せぬ異動や組織内での人間関係の悩みについて伺いたいと思います。自分が全く希望していない部署に異動になってしまった、あるいは、そりの合わない上司や同僚と常に顔を突き合わせなければならない、という悩みは誰しも経験があるのではないでしょうか。また、50代以上のベテランと言われる世代になると、年齢が下の後輩が上司になって指示を出されることに対して複雑な気持ちになる、という場合もあります。そういった悩みに直面したとき、どう向き合っていけばいいのでしょう。
下園さん 組織で生きていくときにはつきものの、大きなテーマですよね。このような悩みに直面してうつ状態になり、カウンセリングを受けにやってくる方がたくさんいます。そんなときの戦い方として、私は2つのお話をします。
一つ目が「現実問題への対処と、感情問題への対処を分ける」こと。
もう一つが「時間軸で見極めること」です。
まず、一つ目から教えてください。
下園さん 組織の中で苦しい状況になったとき、人はまず「こうあらねばならない自分」を思い描くはずです。例えば、「悔しい気持ちはあっても受け入れてやっていかないといけない。なぜなら、現実問題を変えることはできないから。だから自分の気持ちやプライドは押し殺していかなくてはならない」というふうに。みなさんそこで大変苦労されています。
でも、それって実は「思い込み」なのです。気持ちを押し殺していかなくてはならない、という思い込みに縛られているから苦しいんです。
え、そうなんですか。