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中野ジェームズ修一のカラダお悩み解消講座

五輪でメダル候補の日本選手がなぜ早々に敗退? トレーナーが解説

第17回 東京大会は「メンタルヘルス」の問題に理解が進む契機に

 中野ジェームズ修一

 しかし、監督になぜ取材を断るのかと聞いたところ、「あまり本人が周囲に踊らされないよう、できるだけメディアに騒がれないまま大会に出て、メダルを取って帰らせたいんだよね。メダルを取ったら、バーッとたくさん取材を受けさせるよ」という答えが返ってきました。

 彼女はメンタルが強いほうではなかったので、プレッシャーに押しつぶされないための判断だったのでしょう。今回の東京大会で、メダル候補といわれる選手たちへの報道を見て、当時の監督の言っている意味がさらによく分かりました。

「メンタルヘルス」への理解が進んだ東京大会

 東京五輪では、新しい変化がいくつか見られました。例えば、女子体操アメリカ代表のエースであるシモーネ・バイルズ選手が、女子団体決勝で「メンタルヘルス」の問題を理由に途中棄権したことです。

 バイルズ選手は記者会見で「メンタルヘルスを第一に考える」と自ら述べました。そして1週間後、種目別平均台の決勝に再び登場しました。

アスリートのメンタルヘルスの問題に、周囲のスタッフやメディアは取り組まなければならない(写真はイメージ=123RF)
アスリートのメンタルヘルスの問題に、周囲のスタッフやメディアは取り組まなければならない(写真はイメージ=123RF)

 このように、選手のメンタルヘルスの問題への理解が進んだことも、東京五輪の大きな前進です。

 私が最も身につまされたのが、女子トランポリン代表の森ひかる選手です。森選手は、2019年に世界選手権で優勝し、東京五輪ではメダルの期待がかかっていましたが、予選で敗退しました。

 試合後、森選手は「1カ月前からジャンプが怖くなった」と涙ながらに話したそうです。調子が上がっていないのに、6月にイタリアで開かれた国際大会で優勝し、さらにプレッシャーがかかってしまった。コーチに「もうやめたい」と言ったこともあったそうです。

 私は、自分が担当している選手が五輪の本番前に「やめたい」と言い出したら、どんな言葉をかけてあげられるだろうか、と想像しました。

 選手1人1人が心身ともに良い状態で試合に臨めるような環境を作ることも、周りのスタッフやメディアがもっと考えていくべきだと感じた今回の東京五輪でした。

(まとめ:長島恭子=フリーライター)

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中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん フィジカルを強化することで競技力向上やけが予防、ロコモ・生活習慣病対策などを実現する「フィジカルトレーナー」の第一人者。元卓球選手の福原愛さんやバドミントンのフジカキペア、プロランナーの神野大地選手など、多くのアスリートから絶大な支持を得る。2014年からは青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。早くからモチベーションの大切さに着目し、日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナーとしても活躍。東京・神楽坂の会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB 100」の技術責任者を務める。『世界一伸びるストレッチ』『世界一効く体幹トレーニング』(サンマーク出版)、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)、『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)などベストセラー多数。

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