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中野ジェームズ修一のカラダお悩み解消講座

五輪でメダル候補の日本選手がなぜ早々に敗退? トレーナーが解説

第17回 東京大会は「メンタルヘルス」の問題に理解が進む契機に

 中野ジェームズ修一

トップ選手でもなぜ「調整がうまくいかない」のか?

 期待されつつも結果を出せなかった選手について、テレビ放送などでは「調整がうまくいかなかったのかもしれません」などと解説されたりします。

 確かに選手たちは、大事な試合に自分の調子のピークが来るように調整を行います。しかし、人間の力で意図的に、大事な試合のある当日に体調が最高潮になるようピタリと合わせるのは、非常に難しいことです。

 例えば、趣味がランニングで、市民マラソン大会にも出たりする方であれば、大会本番の日に、風邪を引いたわけでもないのになぜか調子が悪いな、と感じた経験があると思います。逆に、前日夜遅くまで起きていたのに、なぜか調子がいいということもあるでしょう。

 このように、「調子」というものは、なかなかコントロールできないものなのです。鍛え抜かれたスポーツ選手であればうまく調整できるだろうと思うかもしれませんが、大きな国際大会ほど、さまざまな環境の変化やプレッシャーもあり、調整はさらに難しくなります。

 本番に強いといわれる選手は、何回も大きな大会を経験する中で、自分なりにピークを合わせるやり方が分かってきます。これがいわゆる「試合勘」です。

 選手たちは、試合に向けて、練習やトレーニングの内容とボリューム、食事の内容やタイミング、睡眠時間など、日々、何が自分にとってベストなのかを模索しています。そして、試合をたくさんこなすうちに、だんだんと「ピークを合わせやすいパターン」が分かってくるのです。

 東京五輪に出場した選手たちが最も苦しんだのは、コロナ禍による影響でしょう。大会が1年延期されたうえ、本番までの試合回数も少なく、ピークを合わせるための微妙な感覚をつかみきれないまま、本番を迎えることになったからです。

 また、五輪のような海外の大きな試合に出場する場合は、時差や気候などさまざまな条件が自国とは異なるので、1カ月前に現地入りするなどして、試合に向けて慎重に調整を行うこともあります。しかし、東京五輪は自国開催ということもあり、選手によってはほんの少し「慎重さ」が欠けてしまった可能性もあります。

 もちろん、卓球の伊藤美誠選手のように、そばで見ていても「この人は本当に本番でも緊張しないな」と感じられるアスリートは、普段通りの実力を大舞台で発揮するのですが、そういう性格の人はやはりまれではないかと私は思います。

選手を守るために、監督は取材を断った

 思い出されるのは、リオ大会で担当していた選手です。大会前、彼女はそれほど注目された選手ではありませんでした。それでも取材の申し込みが来ていたのですが、チームの監督はその取材をほとんど断っていました

 私は、有名な選手ではないからこそ、この機会に取材を受けて、多くの人に応援してもらえる環境を作ったほうがいいのではないか、と感じていました。オリンピアン(五輪選手)は国から強化費をもらっているので、メディアを通して自分の姿を見てもらうこと、普段感じている感謝の気持ちを伝えることも、選手の役目の1つではないか、とも考えていました。

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