一度味わうと、「またこの幸せな感じを味わいたい」となるので、好きな人とまた会ったり、ライブに行ったり、スポーツ観戦を楽しんだりする行動を繰り返します。これが「ハマる」という状態です。

食いしん坊の人は、おいしいものに「ハマって」しまいます。しかも、恐ろしいことに、この報酬予測誤差によるドーパミンの放出を繰り返すと、「もっともっとドーパミンを出したい!」という状態になり、予測を超えるおいしい食べ物を頻繁に求めようとし、探し歩くようになります。
月に一度で満足していたはずが、週に一度、3日に一度、そして毎日ドーパミンを出さないと満足できない状態になり、しまいには毎食でも「おいしいもの」が食べたくなってしまうのです。
バターや砂糖をたっぷり使ったスイーツや、油や炭水化物たっぷりのラーメンにハマったら、当然、摂取カロリーも上がり、太り続けます。
さらに、食べたものが期待していたほどおいしくなかったりすると、どうなるでしょうか?
すでにハマっている状態にある人は、ドーパミンが出ないと、テンションが下がってしまい、その反動で「よし、リベンジだ!」と、すぐさまおいしいものを探すために行動を開始します。その日のうちに自分にとって「間違いないお店」に行って、食べ直したり、デザートを買い求めたりして、満足感を得ようとするのです。
「食事日記」をつけて食べ過ぎを認識
太らないようにするためには、おいしいものを食べたいという欲求を抑え続けなければならないのでしょうか?
私は、そんなことはないと思います。私自身、フィジカルトレーナーという仕事をしていますが、スイーツやパンは大好きですし、お酒を飲むこともあります。
ただ、毎日のようにドーパミンを出さないと気が済まないというような、“中毒状態”からは抜け出し、月に数回でも満足できるよう、コントロールする必要はあります。
ひょっとしたら、相談者の友人の方は、おいしいものを月に数回食べることで満足できているのかもしれませんよね。
少ない頻度でもドーパミンが出て十分に満足できるようにするためには、自分の食行動のパターンを知ることが重要です。
ですから、まずは「食事日記」を1週間つけてみてください。「毎日のようにテイクアウトのランチを食べていた」「レストランの配達を3日に一度も頼んでいた」など、自分の食行動を把握できるはずです。
