私のお勧めはこうです。ベッドに入って15分たっても眠れないときは、いったん寝室を出てリビングなどに移動し、部屋を明るくしないでしばらくストレッチなどをしながらリラックスして過ごします(*)。それから、眠気が高まってきたらベッドに移動する。これを何回か繰り返せば、睡眠圧が高まり、いつの間にか眠れるはずです。
なかなか眠れないと焦りますが、逆に「一晩ぐらい眠れなくても大丈夫だ!」と開き直るのもお勧めです。実際、一晩徹夜したぐらいでは、翌日の心身のパフォーマンスはそれほど変わりません。
そうやって、一晩ぐらい眠れなくてもいいと開き直ると、焦っているときよりもかえって眠れたりするものです。試してみてください。ただし、それでも不眠が続いて日中の生活に悪影響が出るなら、医師に相談しましょう。
「休日の寝だめ」は逆効果!
睡眠圧が増減するリズムは、地球の自転周期(約24時間)と紐づいています。つまり、「起床時刻と就寝時刻」を一定にすることで、毎日同じ時間帯に睡眠圧が高まり、自然と眠くなるし、すっきりと起きられるようにもなるのです。
逆に、「起床時刻と就寝時刻」がバラバラになると、睡眠圧の増減リズムを崩すことになり、眠れない要因になります。
ですから、休日にたくさん眠って疲労を回復しようとするのも、実はNGなのです。疲れを残さないようにするのであれば、まずは平日・休日関係なく、同じ時間に眠り、同じ時間に起きるのを習慣にすることが重要なのです。
休みの日に寝だめすればいいと思うのではなく、眠れなかった次の日はしっかり眠って、睡眠のリズムをなるべく早く取り戻すように気をつけましょう。
ただ、平日はどうしても睡眠時間が短くなりがちという人も多いですよね。その場合は、休日は1~2時間程度なら遅く起きてもいいでしょう。「休日は昼近くまで寝る」というのは、睡眠のリズムを崩すことになるので避けてください。
睡眠中の「成長ホルモン分泌」が疲労を回復させる
睡眠をとることで疲労が回復するのは、眠っているときに「成長ホルモン」が分泌されるからです。
成長ホルモンとは、その名のとおり、子どもの頃に骨を伸ばしたり筋肉を作ったりするために働きます。また、臓器や筋肉、靭帯、骨など、体の様々な組織の修復を促すホルモンでもあり、子どもほど量は多くないものの、大人になってからも分泌されます。
夜に眠っているときに成長ホルモンが分泌され、体の様々な組織が修復されて、疲労が回復するというわけです。
成長ホルモンの分泌が高まるのは、眠りについてから1時間ほどで訪れる深い眠り(ノンレム睡眠)のときです。グラフにすると下図の左側のようになります。23~7時が睡眠時間帯で、0~1時ごろに血中の成長ホルモン濃度がピークに達しています。
一方、右側のグラフは、睡眠時間をいつもより8時間ずらし、朝から昼にかけて(7~15時)眠った場合の成長ホルモンの分泌の様子です。分泌のピークは、やはり眠りについてから1時間ほどたってからなのですが、ピークの大きさが小さくなっています。
そのため、やはり毎日夜の同じ時間に眠ったほうが、成長ホルモンの分泌という点からもよいということが分かります。
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