食事をすると血液中のブドウ糖の濃度が上がるのが常ですが、普通なら2~3時間もすると血糖値は下がっていきます。ところが、血糖値が下がる前に間食をすると、血糖値が上がった状態が続き、血管にダメージが与えられ、やがては糖尿病予備群につながってしまうのです。
血液中の糖は、筋肉を動かすための、いわば“ガソリン”です。ですから、筋肉を動かす運動をすれば、糖がどんどん筋肉で消費され、血糖値が下がります。
筋肉で糖を大量に消費するために向いているのは、運動強度がそれほど高くなく、長い時間続けられる有酸素運動です。運動強度が高い筋トレだと、筋肉がすぐに疲れてしまうので、長い時間続けることができず、結果として使われる糖の量も限られてしまう場合があります。
効率よく血糖値を下げ、糖尿病を予防するという意味でも、やはり優先すべきは有酸素運動ということになります。
短期間では筋肉量は増えない
「筋肉量が増えると基礎代謝は上がる」と聞いたことがあるかもしれません。つまり、筋トレをして筋肉量が増えれば、それだけ多くのエネルギーを筋肉で消費できるようになります。だったら筋トレもやったほうがいいのでは、と思うかもしれません。
確かに、運動する時間があるのなら、有酸素運動に加えて筋トレを行うといいでしょう。順番としては、筋トレの後に有酸素運動をやると、エネルギーをより多く消費できるといわれています。
ただ、そこまで時間がとれないのであれば、やはり優先すべきは有酸素運動です。筋トレで筋肉量を増やすといっても、それには少なくとも3カ月はかかります。
筋肉量を効果的に増やすには、適切な筋トレ種目と負荷を設定し、正しいフォームで行わなければなりません。自宅で専門家の指導も受けずに取り組むのは、トレーニング上級者でなければ、なかなか難しいでしょう。
筋トレで成果を上げるためには、普段、筋肉に与えているよりも高い負荷をかけなければなりません。これを「過負荷の原則」といいます。
もし、以前からほとんど運動したことがなく、極端に筋力不足という人であれば、あまり高くない負荷でも少しは筋肉量が増えるかもしれません。ただ、今回の相談者の方は、以前から運動が好きということなので、すでにある程度の筋肉量があるのではないかと思います。
ですから、この状況では、筋トレをして筋肉量を増やすよりも、有酸素運動を優先して、過剰に摂取したカロリーを消費し、高血糖を解消することが大切です。
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