目の周りをぶつけたとき、見え方に異常がなければ大丈夫?
第4回 目の周りのケガでは、出血量や視力と重症度が一致しない
石岡みさき=みさき眼科クリニック院長
目のかすみや痛み、かゆみ、異物混入など、目にまつわるさまざまなトラブルが起きたときに、急いで眼科を受診すべきなのはどんな場合なのでしょう? 反対に、あわてなくてもよいケースとは? 失明の恐れのある緑内障など、重大な病気を見落とさないためにはどうすればよいのでしょうか? この連載では、眼科専門医の石岡みさき先生(みさき眼科クリニック院長)が、実例を基に、目の健康を守る秘訣をアドバイスしていきます。今回のテーマは「目の周りをぶつけたときの対処法」です。
つい先日、後輩の内科医と話す機会がありました。
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石岡先生が書かれたジェネラリスト(*1)向けの眼科の教科書(*2)、読みました!
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あら、ありがとう! |
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僕は今、眼科医のいない病院にいて、夜中の急患を診るときに目の周りのケガの対応に悩むんですが、救急度を見分けるのに簡単な方法ってあるんでしょうか。視力が低下していれば眼科的な治療が必要だとは分かりますが、見えていれば大丈夫と言えますか?
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眼科医が、他科の医師に「夜中であっても眼科医を呼んでほしい」と言っている救急のケースは何かしら? |
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眼球が穿孔している(穴が開いている)場合です
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そうね。そして眼球が穿孔したら必ず視力は低下する? |
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うーん、するような気がしますが、違うんですか?
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結膜の下で強膜が裂けていると、一見穿孔していないように見えて、視力も良いことがあるのよ。ただ、これは眼科医でないと診断がつかないので、緊急性がないように見えても目の周りのケガは一度は眼科に行ってもらったほうがいいわね |
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重症を見分ける簡単な方法があれば、と思ったんですが、ないんですねえ…
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うん。眼科領域のケガって、眼科医も悩むときがあるほど難しいの。軽症に見えても一度は眼科医に診てもらったほうが安心よ |
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(エピソードは実際にあった話をいくつか組み合わせて脚色しています)
目の周りをぶつけたら必ず眼科を受診して
今回のエピソードは医者同士の会話ですので、やや分かりにくいかもしれませんが、ものすごく簡単に言うと「目の周りをぶつけたら必ず眼科を受診してください」ということです。医者であっても、眼科が専門でない場合は目の周りのケガの診断に悩むことがあるのですから、一般の方にはなおさら、重症度の判断が難しいのです。
なぜ難しいかというと、
1
ケガの見かけや視力と、重症度が一致しない
2
症状が多彩な上、表面から見ただけでは診断がつかない(眼科医が診察しないと分からない)ことがある
――からです。
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