「漂白剤がはねて目に入ってしまった!」まずすべきことは?
第3回 アルカリ性の場合は特に注意が必要
石岡みさき=みさき眼科クリニック院長
目のかすみや痛み、かゆみ、異物混入など、目にまつわるさまざまなトラブルが起きたときに、急いで眼科を受診すべきなのはどんな場合なのでしょう? 反対に、あわてなくてもよいケースとは? 失明の恐れのある緑内障など、重大な病気を見落とさないためにはどうすればよいのでしょうか? この連載では、眼科専門医の石岡みさき先生(みさき眼科クリニック院長)が、実例を基に、目の健康を守る秘訣をアドバイスしていきます。今回のテーマは「目に液体や固体の異物が入ってしまった場合の対応」です。
「目に何かが入ってしまった」という電話での問い合わせは、当院にもよくあります。
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掃除中に漂白剤がはねて目に入っちゃいました! 今すぐそちらに行きますが大丈夫ですか?
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大丈夫ですが、まず目を洗ってから来てください |
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え? 目を洗うってどうやって? カップとか持っていませんが…
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水道水でかまいません。一番簡単で効果的なのはシャワーで洗うことですが、なければ何か容器にためた水に顔をつけて目をパチパチさせるだけでも大丈夫です。それからこちらへ来てくださいね |
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(エピソードは実際にあった話をいくつか組み合わせて脚色しています)
漂白剤が目に入ったら、とにかく目を洗う!
目に液体が入った場合には、急ぎ眼科へ行くよりまず目を洗ってください。水道水でかまいません。強アルカリ性や強酸性の液体が入った場合には眼科受診後も洗眼を続けるくらい、目を洗うことは重要です。
家庭で使われる液体漂白剤で、「塩素系」と書かれているものはアルカリ性、「酸素系」と書かれたものは酸性です。アルカリ性の液体には触れたものを溶かす働きがあり、特に注意が必要です。アルカリ性の液体は、取り除いても、いったん触れた部分はその後もゆっくりと溶けていきます。漂白剤をうっかり素手で触ってしまうとヌルヌルする感じになりますよね。あれが目の表面で起きてしまうと大変です。家庭内では塩素系漂白剤やパイプ洗浄剤(*1)、実験室では水酸化ナトリウム、工場などでは石灰、セメントが代表的なアルカリ性のものです。
