市販の目薬を上手に使う3つのポイント
第8回 処方薬が店頭で買えるようになった「スイッチOTC」にも注目
石岡みさき=みさき眼科クリニック院長
目のかすみや痛み、かゆみ、異物混入など、目にまつわるさまざまなトラブルが起きたときに、急いで眼科を受診すべきなのはどんな場合なのでしょう? 反対に、あわてなくてもよいケースとは? 失明の恐れのある緑内障など、重大な病気を見落とさないためにはどうすればよいのでしょうか? この連載では、眼科専門医の石岡みさき先生(みさき眼科クリニック院長)が、実例を基に、目の健康を守る秘訣をアドバイスしていきます。今回のテーマは「市販の目薬の上手な使い方」です。
ものもらいで受診した患者さんとの会話です。
はい、じゃあ、抗菌薬の目薬を処方しますので、痛みがなくなるまで使ってください |
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あのー、市販の目薬を使って治らなかったのですが、やっぱり市販薬って効かないんですか?
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そんなことはありませんよ。市販薬で治ることもあります。で、どの目薬を使ったんですか? |
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これです(と、目薬を出す)
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ああ、これはアレルギー用の目薬なので、ものもらいには効きませんよ |
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え! 市販の目薬って何にでも効くんじゃないんですね
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そりゃそうですよー。ものもらいには抗菌薬、アレルギーには抗ヒスタミン薬の点眼を使います |
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(エピソードは実際にあった話をいくつか組み合わせて脚色しています)
市販薬を使いこなすポイントは3つ
薬局やドラッグストアに行くと、たくさんの目薬が棚に並んでいます。市販の目薬は、使える成分の種類とその最大濃度が決められていて、医師の処方薬でしか使えない成分があったり、処方薬と同じ成分であっても濃度が薄かったりしますが、それなりの効果はあります。使い方のポイントは、以下の3点です。
市販の点眼薬の使い方 3つのポイント
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数日から1週間使っても効果がないなら眼科を受診する(市販薬の選択が間違っているか、効果のある薬が市販薬にはないと考えられるため)
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原因がはっきりしているなら、それに対応した薬を使う(花粉症ならアレルギー用の点眼薬を使う)
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もともと処方薬であったものが市販薬になったものを選ぶ(処方薬と同じ成分・濃度なので効果が高い)
店頭で一番多く売られている点眼薬は、目の疲れ、充血、炎症を取る成分が入っているものです。目の充血の場合、その原因の多くは「結膜炎」「ドライアイ」「疲れ目」のどれかなので、原因がよく分からなくても、とりあえず効くように成分が配合されています。
原因がはっきりしているなら、その原因に対応している市販薬を使ったほうが効果的です。例えば毎年出る花粉症の症状であれば、「花粉」「アレルギー」「かゆみ」とはっきり書いてある目薬を使ったほうが良いでしょう。ものもらい(麦粒腫)の場合は、まぶたの細菌感染が原因なので、抗菌薬が入っているタイプのものが適しています。目やにが出る場合も同様です。ただし市販薬の点眼に使える抗菌薬はサルファ剤と呼ばれる種類のものだけなので、これが効かなかったら眼科受診です。
ものもらい以外でも、市販の目薬で効果がないのなら、別の薬を買い求めるよりも眼科を受診したほうが早いです。例えば「充血を取る」成分は、使っているうちに充血が逆に目立つようになることがありますので、1週間使って良くならないようなら、眼科できちんと診察を受け、充血の原因をはっきりさせることをお勧めします。