健診で問題がなかったら緑内障の心配はない?
第2回 40歳を過ぎたら「眼圧」と「眼底」を必ず検査!
石岡みさき=みさき眼科クリニック院長
目のかすみや痛み、かゆみ、異物混入など、目にまつわるさまざまなトラブルが起きたときに、急いで眼科を受診すべきなのはどんな場合なのでしょう? 反対に、あわてなくてもよいケースとは? 失明の恐れのある緑内障など、重大な病気を見落とさないためにはどうすればよいのでしょうか? この連載では、眼科専門医の石岡みさき先生(みさき眼科クリニック院長)が、実例を基に、目の健康を守る秘訣をアドバイスしていきます。今回のテーマは「緑内障の早期発見」です。
筆者(眼科専門医)が高校の同級生と話していたときのことです。
ねえ、人間ドックでちゃんと眼科の検査を受けてる? |
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職場の健康診断で問題ないって言われたよ
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法律で決められている職場での眼科健診は視力検査だけだよ。緑内障チェックのために必要な眼圧測定や眼底写真も検査に入っていた? |
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えー、何の検査を受けたかなんて分からないよ。でも視力がいいから大丈夫でしょ。何の症状もないし。緑内障って頭痛がして吐く病気でしょ? そんなこと起きてないし。
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いやいや、頭痛がして吐く緑内障はそれほど多くないのよ。日本人は眼圧が上がらない緑内障が多いし、視野が欠けて見えにくくなるのは相当末期なので、進行している間は症状ないことがほとんどだよ。早期発見が大事!! |
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(エピソードは実際にあった話をいくつか組み合わせて脚色しています)
名前が似ている緑内障と白内障って同じような病気?
さて緑内障とはどういう病気でしょうか? 白内障と名前が似ているので同じようなものと思っている人も多いのですが、この2つはまったく違う病気です(図1)。

白内障は、目の中の水晶体=レンズが濁ってくる病気で、原因はほとんどが加齢です。そのため、100%の人がいつかは白内障になります。そして見え方に支障があれば手術となります。一方緑内障は、眼球から脳につながる約100万本の神経線維からなる視神経が、ゆっくりと死んでいく病気です。死んでしまった神経部分に一致して見えないところが増えていきます。原因は不明のことがほとんどで、眼圧が高いことが進行するひとつの要因ですが、日本人は眼圧が上がらない緑内障(正常眼圧緑内障)がほとんどです。