コロナ流行時の眼科受診、どんな場合は「不要不急」?
第7回 ポイントは「急に見えなくなった」かどうか
石岡みさき=みさき眼科クリニック院長
目のかすみや痛み、かゆみ、異物混入など、目にまつわるさまざまなトラブルが起きたときに、急いで眼科を受診すべきなのはどんな場合なのでしょう? 反対に、あわてなくてもよいケースとは? 失明の恐れのある緑内障など、重大な病気を見落とさないためにはどうすればよいのでしょうか? この連載では、眼科専門医の石岡みさき先生(みさき眼科クリニック院長)が、実例を基に、目の健康を守る秘訣をアドバイスしていきます。今回のテーマは「コロナ禍における眼科受診」です。
新型コロナウイルスの緊急事態宣言中、「かかりつけの眼科が入っている商業施設が休館となってしまい、連絡がつかない」という患者さんから、「いつものドライアイの薬が欲しい」という電話が当院にありました。
で、どんな症状にお困りですか? |
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え、別に困っていません
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?? ドライアイの薬をもらっていたんですよね? |
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ええ、数年前にものもらいで受診したら、ひどいドライアイがあるから必ずこの薬を使いなさいって言われて
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ものもらいができる前には、目が乾くとか、見えにくいとか、ゴロゴロするとか、そうした症状で困っていなかったのでしょうか? |
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ええ、何も
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でしたら薬はいりません。ドライアイは何か自覚症状があって治療するものなので、眼科医がドライアイがあると言っても、ご本人が困っていなければ治療はしなくても大丈夫です。今回薬を中止して、何か症状が出たら、眼科を受診してください |
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(エピソードは実際にあった話をいくつか組み合わせて脚色しています)
コロナ禍で「無理に眼科を受診しなくてもよい」場合って?
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言中、患者さんから電話でいろいろなお問い合わせをいただきました。「20年前から目がショボショボするので受診したい。暇だから診てほしい」という方には、「受診するのは今じゃありません」とお断りし、電車で2時間近くかかるところにお住まいのようでしたので、「診察を受けるにしてもお近くの眼科をお勧めします」とお伝えしました。
「10年以上前から白内障と言われていて、見え方に変わりはないが、進んでいるかどうか診てほしい」と言われることも何度かありましたが、これまた急ぎではありません。白内障は100%の人がなる老化現象で、日常生活に困るようになったら手術を考えるということで大丈夫です。手術も、コロナ禍に無理してまで受ける必要はありません。
冒頭のケースのように、ドライアイやアレルギー性結膜炎がある場合も、何か症状があれば治療しますが、気にならないのであれば基本的に放っておいても大丈夫です(子どもの場合にはアレルギーがひどくても本人は何も言わないことがありますので、充血がひどい、目をこすったり、顔をしかめることが多い、というときには治療が必要です)。
では、どういう場合だったら無理をしてでも眼科受診をしたほうがよいのでしょうか? それは急に「見えにくくなった」ときです(急に、とは一瞬から数日レベル)。