花粉症は、1月末から治療を始めて軽く済ませましょう
第5回 花粉が飛ぶ前からの初期療法には2大メリット
石岡みさき=みさき眼科クリニック院長
目のかすみや痛み、かゆみ、異物混入など、目にまつわるさまざまなトラブルが起きたときに、急いで眼科を受診すべきなのはどんな場合なのでしょう? 反対に、あわてなくてもよいケースとは? 失明の恐れのある緑内障など、重大な病気を見落とさないためにはどうすればよいのでしょうか? この連載では、眼科専門医の石岡みさき先生(みさき眼科クリニック院長)が、実例を基に、目の健康を守る秘訣をアドバイスしていきます。今回のテーマは「花粉症の初期療法」です。
眼科医として働いていると、いろいろな雑誌やネットメディアの取材を受けることがよくあります。ある日の電話での問い合わせです。
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月刊〇〇という40~50代女性向けの雑誌のライターをしています△山と申します。花粉症に対する眼科の治療法について取材させてください
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大丈夫ですよ。いつ出る雑誌ですか? |
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3月の…
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あー、それじゃ遅いんですよー |
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え? スギ花粉症がひどいのは3月から4月ですよね?
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ええ、確かにそうなんですが、花粉症のある方が治療を始めるのは1月末からが効果的なんです。なので3月に対処方法を読んでも遅いんですよ |
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ま、まあ、それなら次の年に役立てていただく情報、ということで…
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(エピソードは実際にあった話をいくつか組み合わせて脚色しています)
早めに治療を始めると症状が軽くなり、出る期間も短くなる
スギ花粉症は、スギ花粉が体の中に入ることで起こるアレルギー疾患(アレルギー性結膜炎やアレルギー性鼻炎)のことで、2月から5月初めくらいに患者さんが多くなります。毎年スギ花粉が飛び始める時期が話題になるように、かなりの数の日本人が悩まされているアレルギーです。
スギ花粉のように、飛ぶ時期が分かっている花粉に対しては、早めに治療を始めると症状が軽くなる、また症状の続く期間が短くなることが以前より報告されていて、「初期療法」と呼ばれています(図1)。スギ花粉は関東では大体バレンタインデーのころから飛び始めますので、その2週間前の1月末くらいからの治療が勧められています。

初期療法を行っても完全に症状がなくなるわけではありませんが、症状が軽くなれば強い薬を使わなくて済みますので、毎年症状の出る方はぜひ今、この時期に治療を始めましょう。症状が出ていなくても薬を処方してもらうことは可能です。花粉が多く飛ぶ3月は医療機関も混みますので、あらかじめの受診をお勧めします。