白内障の手術は早めに受けた方がハッピー?
第10回 良く見えているなら手術は急がなくてOK
石岡みさき=みさき眼科クリニック院長
目のかすみや痛み、かゆみ、異物混入など、目にまつわるさまざまなトラブルが起きたときに、急いで眼科を受診すべきなのはどんな場合なのでしょう? 反対に、あわてなくてもよいケースとは? 失明の恐れのある緑内障など、重大な病気を見落とさないためにはどうすればよいのでしょうか? この連載では、眼科専門医の石岡みさき先生(みさき眼科クリニック院長)が、実例を基に、目の健康を守る秘訣をアドバイスしていきます。今回のテーマは「白内障」です。
白内障で定期的に通院している72歳の患者Aさんから、こんな相談を受けました。
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先生、私、白内障の手術を受けようと思うんです
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えっ。今、Aさんの視力はとても良いので、急いで手術する必要はないですよ |
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でもお友達がみんな受けて、すごく良く見えるようになったと言っているので、ぜひ私も受けたいんです
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手術を受けても、今見えている以上には良くならないですよ。お友達は白内障のために視力が悪かったので手術をして喜んでいるんでしょう。年齢から考えてAさんの白内障の原因は老化現象です。先日「私は老眼にならない!」って断言していたのに、なぜ白内障についてだけ老化を受け入れるのか、不思議です… |
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えー、目に良いことはやりたいんですよ
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必要ない手術は受けないことが、目に良いことです。視力が落ちてきて、日常生活に困るようなら手術を考えましょう |
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えー、私もやりたーい。みんなやってるんだしぃ
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いやいやいや |
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(エピソードは実際にあった話をいくつか組み合わせて脚色しています)
白内障は100%の人がなる老化現象
白内障とは眼球内のレンズ=水晶体が濁る状態で、ほとんどが年齢による変化です(図1、2)。一部は目のケガや炎症の後に起きたり、ステロイド剤の副作用で起きたり、糖尿病、アトピー性皮膚炎に合併して生じることもあります。

白内障は老化現象なので、いずれ100%の人がなるのですが、進行には個人差が結構あります。主な症状は視力低下です。まぶしい、眼鏡の度数が変わった、物がダブって見えるという症状が出ることもあります。