日本人の2人に1人ががんに罹患する今の時代。がんへの不安に応えるように、世の中にはがん予防に関する情報があふれています。しかし、がん予防の情報は玉石混交。多くの情報の中から正しい情報を探すには、多くの人々を対象として病気の要因を探る『疫学研究』から導きだされたエビデンス(科学的根拠)が重要になります。
本連載では、「がんを遠ざけるために私たちが今できること」を、がん予防のエキスパートである国立がん研究センター 社会と健康研究センター長の津金昌一郎さんが最新のエビデンスとともに解説します。
津金昌一郎(つがね しょういちろう)さん
国立がん研究センター 社会と健康研究センター センター長

医学博士。1981年、慶應義塾大学医学部卒業、同大学院医学研究科にて公衆衛生学を専攻。同大学医学部助手を経て、1986年国立がんセンター(現・国立がん研究センター)入所。同研究所室長、同臨床疫学研究部長、がん予防・検診研究センター予防研究部長、同センター長を経て、現職。日本人の食事、飲酒、喫煙など、生活習慣とがんの関係を長期にわたって調査研究する多目的コホート研究の主任研究者。2018年に「大規模コホート研究の推進と日本人のエビデンスに基づいたがん予防法の提言」について、日本医師会医学賞(Medical Award of The Japan Medical Association)を受賞。『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』(祥伝社新書)など、著書多数。