日本初! 足専門の総合病院「下北沢病院」(東京・世田谷区)。同院に所属する医師たちが、足を健康に保つ“健足術”を解説する連載。今回のテーマは「タコ」「ウオノメ」です。カチカチに硬くなってくる「タコ」、痛くなることもある「ウオノメ」は、偏った足の使い方でかかる「圧力」が原因です。正しくケアし、足のクセも見直していきましょう。

二足歩行する人間にとって、地面に接する足は、体の最も低い位置にある。「このため、足の血液やリンパ液は滞りやすく、加えて、人それぞれの足の使い方のクセによって偏った負荷がかかり、結果として足裏の皮膚に問題が表れやすくなります」と、「足」を専門的に治療する総合病院、下北沢病院の久道勝也理事長。
普段はあまり意識していないけれど、いざ不調が表れると絶えず気になり、日常生活に支障も生じるのが、足裏のカサカサ、タコ、ウオノメ、イボといった足の皮膚症状。水虫は以前の回で紹介したので、今回は足にできる水虫以外の皮膚疾患をクローズアップする。
下図を見てわかるように、私たちの足はさまざまな皮膚疾患リスクにさらされている。前述の通り、心臓から最も遠い場所にあるため、重力とともに血液やリンパ液が滞りやすい。
硬くて丈夫だけど 負担大 足の皮膚 の特徴
足の皮膚にはさまざまな悪条件が重なっている。靴に圧迫され、繰り返し重力がかかり、蒸れやすい。タコやウオノメは分厚くなった角質に、繰り返し偏った圧がかかることが原因。
下にあるため血液が滞りやすい
心臓から最も遠い場所にあり、重力の影響も受けるため、足の血液やリンパ液は滞りやすい。老廃物や炎症物質が滞ると皮膚の新陳代謝も悪化。

血液やリンパ液が滞ることを、“うっ滞”という。「重力という負荷を受けにくい、足以外の部位の血流を“流れの速い川”とすると、うっ滞した状態は、“澱んだどぶ川”のようなもの。流れが速いと水は澄んでいますが、どぶ川ではところどころに葉っぱやゴミが引っかかって澱んでいる。血液やリンパ液には老廃物や化学伝達物質が含まれますが、これらが停滞すると、炎症が起きて、皮膚に赤い斑点のようなものが現れることがあります」(久道理事長)。
皮脂の分泌が減りカサカサになる「皮脂欠乏性皮膚炎」の症状があり、保湿剤やステロイド剤でも良くならない患者さんに、弾性ストッキングをはいてもらうと良くなるケースがあるという。「足のうっ滞を取り除けば、新陳代謝も改善、足の健康が取り戻されるのです」。