日本初! 足専門の総合病院「下北沢病院」(東京・世田谷区)。同院に所属する医師たちが、足を健康に保つ“健足術”を解説する連載。今回のテーマは「水虫」。症状があまりないため、甘く見がちな水虫。ですが、家族や自分が糖尿病の場合は、注意が必要です。タイプに合った薬で治し、予防しましょう。
「日本をはじめとして、裸足文化のアジアは、世界的に見て水虫が多いといわれる」と話すのは、「足」を専門的に治療する総合病院、下北沢病院の久道勝也理事長だ。
水虫は白癬菌(はくせんきん)という真菌(カビ)の一種が原因の感染症。白癬菌は、温かく湿度が高い場所を好み、角質のたんぱく質をエサとして増殖する。そのため、水虫は足指の間やかかと、そして爪に起こりやすい。
「日本の場合、夏は自宅で裸足で過ごすことが多い。そのため、家族に一人でも水虫の人がいると、床に白癬菌をバラまき続けているため、ほかの人が治そうとしても、いつまでたっても治らない。水虫を火とたとえると、塗り薬で鎮火しようとしているのに、わきで水虫の人が火をつけているようなものです」(久道理事長)。
さらに、昔から日本では銭湯など、不特定多数の人が裸足で集う場があった。このことも、日本人が水虫になりやすい一因だとされる。
ちなみに、「水虫は英語では『アスリート・フット』と言います。それは運動選手に多いから。運動をして汗をかくと、靴の中は蒸れた状態。そしてアスリートたちが使うシャワーやロッカールームなどの施設は温かく、湿気が多い。白癬菌が広がる条件がそろっているからですね」と久道理事長。
知っておきたい 水虫にまつわる2つの事実
水虫は加齢とともに増える。糖尿病の人はより注意
欧米の平均年齢56.1歳の男性283人、女性267人の糖尿病患者(I型糖尿病は34%)と別研究での健常者2001人のデータを比較。爪白癬は加齢とともに増えている(グラフ)。また、健常者を1としたとき、糖尿病の人の爪白癬発症リスクは2.77。また、男性は女性と比較して、2.99倍爪水虫になりやすい。(データ:Br J Dermatol.;139,665-671,1998)

水虫のなりやすさに足指の形が関係する

潜在的な水虫の実態調査をするために、大学病院皮膚科を水虫以外で受診した患者200人を対象に、白癬菌の存在を調べる顕微鏡検査を実施。足指の形を、開いている、やや開いている、閉じているの3型に分類。陽性の群では閉じている人の割合が高かった。(データ:Jpn J Med Mycol.;44,253-260,2003)

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