日本初! 足専門の総合病院「下北沢病院」(東京・世田谷区)。同院に所属する医師たちが、足を健康に保つ“健足術”を解説する連載。今回のテーマは「足に症状が出る病気」。ちょっとした傷が治りにくくなった、足の甲がなにもしないのに痛い……そんな症状が全身の病気のサインであることも。日頃から足をしっかり見て、病気の兆候に早く気づこう。
親指の付け根が真っ赤に腫れ上がる「痛風」、進行すると気づかぬまま足に壊疽(えそ)などが起きる「糖尿病」、足が痛むこともある「関節リウマチ」……、足は全身の病気の進行の手がかりとなる、重要な部位でもある。
今回は、これら「足に症状が出る病気」について、注意点などを聞いていこう。
まずは「風が吹いても痛い」といわれる、痛風。突然、足の親指の付け根が赤く腫れ上がり、激痛が生じる。実は、風が吹かなくても痛い。「痛風の痛みは、とにかく激しく、大の大人でも歩けなくなります」と、「足」を専門的に治療する総合病院、下北沢病院糖尿病センター長の富田益臣さん。
痛風の原因は、尿酸だ。「血液中の尿酸が7.0mg/dL以上になると、高尿酸血症と診断されます。その合併症として代表的なのが、痛風発作です」(富田さん)。尿酸が結晶化して、関節にたまり、それがはがれるときに痛みが出るが、その場所は、足の親指の根元にある第一中足趾節関節のことが多い。
足が痛くてたまらない痛風の原因 高尿酸血症
血液中に尿酸がたまり、尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態が「高尿酸血症」。尿酸が結晶化した尿酸塩が関節に沈着し、はがれて炎症を起こし強烈な痛みを生じるのが「痛風発作」。

ただ、尿酸値が高くても、全員が痛風になるわけではない。痛風のきっかけとなるのは、飲み過ぎ、食べ過ぎや、温度低下、激しい運動、精神的ストレスなど。「発作は数日から1週間ほどでおさまりますが、治療をしないで放置し、尿酸値が高い状態が続くと、炎症を繰り返し、関節破壊といって足指の骨が溶けてしまう場合もあります」(富田さん)。
足だけの問題ではない。尿酸が結晶化してコブのようになる「痛風結節」は、足指や手指、耳たぶのほか、臓器にもできる。腎臓にたまると腎機能が低下し、尿管や膀胱でたまって尿路結石になることもある。
高尿酸血症は、食べ過ぎや飲み過ぎる習慣がある30~50代男性に多い。女性は女性ホルモンの恩恵を受けて尿酸値をコントロールできているが、閉経後は尿酸が体外に排出されにくくなり、痛風リスクが高まるので注意が必要だ。
また、高尿酸血症は、高血圧や糖尿病のリスクを高めるため、尿酸値の異常がわかったら、治療を受けよう。「尿酸値が上昇しないようコントロールする薬物療法が確立しています。レバーやたらこなどプリン体を多く含む食品を減らし、アルコール摂取を減らす食事療法も重要です」(富田さん)。
痛風が慢性化すると痛風結節に
尿酸が結晶化した「痛風結節」は、耳など心臓から遠く血流の乏しいところに起こりやすい。足関節のほか、尿中に尿酸がたまると「尿路結石」に、腎臓にたまると腎機能低下につながる。


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