年を取っても認知症にはならず、脳も元気なまま一生を終えたいと誰もが思うでしょう。そのためには何が必要でしょうか? 国立長寿医療研究センターの遠藤英俊さんが、最新の研究結果を基に、認知症予防について解説します。今回は、特に認知症予防の高い効果が期待できる、社交ダンスとゴルフについて紹介します。

前回は、認知症予防に有酸素運動が効果的であること、またその中でも、運動をしながら脳を鍛える「コグニサイズ」のやり方について紹介しました。
とはいえ、いくら認知症予防効果があるからといっても、ただ懸命にやるだけでは、思ったような効果があがらないもの。できることなら、楽しく体を動かして、ときにはハメを外すことも大切です。
心の底から笑ったり、胸がときめいたりすれば、神経伝達物質のベータ・エンドルフィンやドーパミン、オキシトシンなどが分泌されて、脳が活性化されていきます。
そんな視点から、今回は強力な認知症予防法を2つ紹介しましょう。
社交ダンスで身も心もイキイキ
その一つは、社交ダンスです。
1996年に公開された『Shall we ダンス?』という映画を覚えていますか? もともとは役所広司さん主演の日本映画でしたが、2004年にはアメリカでリチャード・ギア主演の映画『Shall We Dance?』としてリメイクされたので、そちらをご存じの人も多いでしょう。
そこそこ幸せではあるけれど、人生に物足りなさを感じていた初老の男性が、ダンス教室にいる若い先生を見て、多少よこしまな気持ちになってダンスを習い始めます。それによって、人生に活気を取り戻し、周囲の人たちと積極的に関わっていけるようになる、というストーリーです。
早い話が、色気を持つことで若さが保てることを、この映画は証明してくれました。まさにこのことが、認知症の予防に役立つポイントだと私は思うのです。