年を取っても認知症にはならず、脳も元気なまま一生を終えたいと誰もが思うでしょう。そのためには何が必要でしょうか? 国立長寿医療研究センターの遠藤英俊さんが、最新の研究結果を基に、認知症予防について解説します。今回は、40代から認知症予防を意識するなら、血圧や血糖値、BMIはどのレベルを目指すべきかというお話です。
アルツハイマー型認知症の患者の多くは生活習慣病を合併

認知症にならずに天寿をまっとうできるかどうか。その成否を分ける重要な要素が、生活習慣です。
現に、アルツハイマー型認知症患者の多くは、何らかの生活習慣病を合併しているというデータがあります。
東京医科大学・老年病科の物忘れ外来を受診した患者さん173人のうち、アルツハイマー型認知症と診断された113人を対象にした調査では、1人平均2.27個の生活習慣病の疾患を持っていることがわかりました(*1)。このデータからも、生活習慣病と認知症は深い関係にあることがうかがえます。

この連載の第1回では、「改善が可能な認知症の9つのリスク要因」を紹介しましたが、なかでも40代から気をつけたい生活習慣におけるリスクは、次の5つです。
40代から気をつけたい認知症のリスク
・糖尿病
・高血圧
・肥満
・ストレス
・喫煙
30年後、40年後に認知症になりたくなければ、40代のころから、この5つのリスクを避けることが大切です。
ストレスについては、先ほどの「9つのリスク要因」のなかでは独立した項目としては含まれていませんが、ストレスが高血圧を引き起こしたり、ストレスが暴飲暴食や喫煙を招いたりすることはご承知のとおりです。
こう並べてみると、生活習慣病やメタボリックシンドロームのリスク要因と似ていることがわかるでしょう。40代、50代の生活習慣病予防は、そのまま認知症予防につながるのです。