健康で長生きするためには、腸内環境を整えることが大事。では、具体的にどうすれば、腸を元気にして、健康“腸”寿を実現できるのでしょうか? この連載では、これまで約4万人の腸を診てきた腸のエキスパートであり、腸に関する数多くの著書を手掛ける消化器内科医の松生恒夫さんが、腸を元気にして長生きするための食事や生活の秘訣を、エビデンス(科学的根拠)に照らしながら紹介していきます。今回のテーマは、前回に引き続き「腸冷え」です。
師走に入り、一段と冷え込みが強くなってきました。前回(冷えは腸の大敵! 男も女も気をつけたい「気温差10度の法則」)は「腸の冷え(腸冷え)」をテーマにお話ししました。腸冷えは、腸の働きが悪くなる停滞腸を引き起こすだけでなく、腸管免疫力の低下を招きます。
腸管免疫力が下がると、かぜやインフルエンザ、腸炎などの感染症にかかりやすくなったり、大腸がんのリスクが高まったりすることも考えられます。また、私は中年以降の男性に多い腰痛やED(勃起不全)の中にも、冷えをきっかけとして起こっているケースがあると考えています。
「冷えは万病のもと」と言われるように、全身にさまざまな悪影響を及ぼす腸冷えを防ぐには、どうすればいいのでしょうか。今回は、腸を冷やさないための食事のコツを中心に、腸冷えの予防・改善策をご紹介します。
前回ご紹介した、腸冷えのレベルの目安となるセルフチェックで点数が高かった人は特に、以下の対策を意識的に実践していくことで、腸冷えによる症状の軽減が期待できます。
腸冷え改善の基本は「朝食を抜かない」こと
腸を温めて働きを良くするために、最も重要なのは「食事」です。特に、腸冷えや停滞腸の改善には、朝食をとることが欠かせません。
私のクリニックの便秘外来を訪れた患者さんたちに、生活習慣についての調査をしたところ、1日の食事の回数が「2回以下」と答えた人が40%以上もいました。そして、その大半を占めていたのは「朝食を抜いている」という回答でした。
「朝は食欲がない」「朝食をとる時間がない」「ダイエットをしているから」などその理由はさまざまですが、便秘の人は朝食をとらない傾向があることが分かりました。この結果には驚くとともに、「やっぱり」と納得する部分もありました。なぜなら、スムーズな排便のために重要な腸のぜん動運動は、朝食後に最も強く起こるからです。
腸のぜん動運動が大きく起こることを「大ぜん動」と呼びますが、大ぜん動は体内リズムと関連しているため、起こるタイミングが限られています。就寝中に胃と小腸が空になった状態で、胃に食物が入る朝食後は、大ぜん動が最も起こりやすくなります。このタイミングを逃さずに、朝食をとって大ぜん動を起こすことで、腸が活発に動いて、温まりやすくなるのです。

ですから、腸の専門医としては、朝食は抜かずに、必ず食べていただきたいと思います。とはいえ、朝食をとる習慣のない人が、いきなりきちんとした食事をとろうとするのは難しいかもしれません。そんなときには、温かい野菜スープや味噌汁、飲み物など、簡単なものをとることから始めてもいいでしょう。
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