健康で長生きするためには、腸内環境を整えることが大事。では、具体的にどうすれば、腸を元気にして、健康“腸”寿を実現できるのでしょうか? この連載では、これまで約4万人の腸を診てきた腸のエキスパートであり、腸に関する数多くの著書を手掛ける消化器内科医の松生恒夫さんが、腸を元気にして長生きするための食事や生活の秘訣を、エビデンス(科学的根拠)に照らしながら紹介していきます。今回のテーマは「オリゴ糖」です。
今回は、この連載にたびたび登場している「オリゴ糖」について掘り下げたいと思います。
オリゴ糖は自然界に存在する糖質の一種で、さまざまな野菜や果物に含まれています。最近は、工業的に生産され「お腹にやさしい甘味料」として市販されていたり、腸内環境を整えるとうたうヨーグルトに添加されていたりするので、名前をご存じの方も多いことでしょう。
前回ご紹介した「大腸リセットプログラム」の「ファスティングドリンク」や、私が腸の健康に役立つ食事法として提唱している「地中海式和食」(魚と野菜を中心とした昔ながらの和食にエキストラバージンオリーブオイルなどを加える食事法)では、甘味をつける場合は砂糖ではなく、オリゴ糖を用います。
なぜオリゴ糖が腸に良いのか、砂糖とはどう違うのか。その秘密を詳しくご紹介しましょう。

オリゴ糖は分解されずに大腸に到達し、善玉菌のエサになる
この連載の「和食+オリーブオイル=快腸! 地中海式和食のすすめ」でも簡単に触れましたが、オリゴ糖は善玉菌の代表であるビフィズス菌のエサとなることで、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える働きがあります。
ビフィズス菌や乳酸菌のように、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスを改善することによって、宿主の健康に好影響を与える生きた微生物のことを「プロバイオティクス」といいます。
これに対して、ヒトの消化酵素では分解されずに大腸に到達し、大腸内の特定のプロバイオティクスの増殖や活性を促し、その働きを助ける物質のことを「プレバイオティクス」といいます。
大腸でビフィズス菌のエサになるオリゴ糖は、プレバイオティクスの代表選手、腸の健康に欠かせない物質の1つといえます。
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