日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > 医療・予防  > がんになっても働きたい  > がんになったらお金どうすればいいの? 「看護師FP」が指南  > 2ページ目
印刷

がんになっても働きたい

がんになったらお金どうすればいいの? 「看護師FP」が指南

看護師・ファイナンシャルプランナー 黒田ちはるさん(上)

 福島恵美=ライター

漠然としたお金の不安を明らかにしてみる

働いている世代のがん患者さんは、どのようなお金の悩みを持っていますか。

 治療費がかかるのはもちろん、収入の減少による家計のやりくりに悩む人が多いです。長期的に治療が必要になると、残業ができなくなったり、体に無理をして働くことができなくなったりしがちです。すると、同じ部署で働いていても、給料が2、3万円減ったりします。仮に手取りが20、30万円だとすると、そこから2、3万円の減少は大きくて、さらに治療費も加わるので、その分どこを削るのか、という話になります。

 最近では、クレジットカードのローンの返済に悩む人も多いです。カードでキャッシングやショッピングをしていたけれど、がんによる収入低下で返済困難となった人、もともと収入・貯蓄が少なく、治療費をカードで払わざるを得なかった人です。がん患者さんの場合は治療スケジュールや病状により、収入や支出(治療など)が変わる可能性があるため、単純に借金総額や金利だけでは判断が難しく、より慎重に考えていく必要があります。一般的な借金返済方法の考え方とは異なるため、悩んだ結果ご相談されるケースが増えています。

がんになった人は、どのように家計を見直せばいいのでしょう?

 がんと診断された当初は、「治療に何百万円もかかるのでは!?」と漠然とした不安を抱える方が多いので、まずは具体的な金額を確認し、 お金に対する不安を無くしましょう。患者さんやご家族は主治医から治療方針の説明を受けますから、治療期間をもとに、「かかるお金」と「かけたいお金」そして「入るお金」を出してみるのです。

 まず、「かかるお金」は治療費、検査費、入院費など病院で支払うお金です。健康保険適用であれば健康保険の高額療養費制度(*2)でおおよその試算が可能です。がんで同じ治療をしたとしても、Aさんは9万円、Bさんは5万円というように、1カ月の上限は人により異なるので、ご自身の治療費の負担額を確認しましょう。

 「かけたいお金」は治療の関連費です。入院時の個室の差額ベッド代や、補正下着、弾性ストッキング(健康保険の療養費支給あり)、医療用ウィッグなどがあります。数万円の方もいれば、個室希望で職業的にもウィッグはオーダーメードという方は総額で50万円以上かかっていたことからも、機能性や求める内容により金額は変わります。

 「入ってくるお金」は健康保険の傷病手当金(*3、休業補償)と民間の生命保険の給付金です。傷病手当金は休んだ後に申請するので、支給まで時間を要します。治療費がかかり無給となる期間が発生した場合に生活費や日々の支払い関係なども含め、貯蓄や生命保険の給付金などで賄えない場合に、家計の見直しの必要性が出てきます。

 民間の生命保険の給付金を請求する際に付けることが多い診断書は、1通5000円ほどなので、ご自身にとってベストな請求のタイミングを見極めることも大切です。

がん治療中の家計は固定費を見直す

支出はどこを節約すればいいのでしょう?

 支出については、毎月かかる固定費(住宅費、生命保険、自動車保険、教育費など)を見直します。

月々の固定費の変化

 なぜなら、体や心により負担の少ない方法で、月々の家計を調整でき、治療費やほかの必要なお金に回せる可能性があるからです。住宅ローンの返済が困難になったときは調整方法を考え(詳しくは後編で紹介)、生命保険は保障内容が重複していることがあるので、必要性を検討します。行っていない習い事、例えばスポーツクラブの会費がかかっていたらやめてみる、使っていないクレジットカードは解約するなど、少しずつでもかき集めると、赤字家計の回避につながる可能性があります。

 変動費の食費については、ぜいたくをしていなければ、そのままでいいと思います。食費を切り詰めたとしても、ひと月の効果は数千円~1万円程度。頑張った成果よりも切り詰めたつらさにより、治療意欲や患者さんとご家族の生活の楽しさをなくしかねないためです。

*2 1カ月間に病院・調剤薬局などの医療機関に支払った費用(食事代、有料室料金などは除く)が一定額(自己負担限度額。所得に応じて異なる)を超える場合、超えた額の払い戻しを申請により受け取ることができる。事前に、加入する公的医療保険で限度額適用認定証などを発行してもらえば、窓口での支払いが一定額にとどめられる。
*3 会社員や公務員などが病気やけがのために欠勤し、給料の支給がない(あるいは、十分な報酬が受けられない)場合に1日当たり給与日額の3分の2相当額を受給できる(最長で1年6カ月間)。国民健康保険加入者は使えない。

◇     ◇     ◇

 後編「がん治療で住宅ローン返済厳しい… 『看護師FP』が対策を助言」では、具体的な事例をもとに、がん患者の家計の見直しについて考えていく。

黒田ちはる(くろだ ちはる)さん
黒田ちはるFP事務所代表
黒田ちはる(くろだ ちはる)さん 1981年生まれ。千葉市在住。看護師、国際基準を満たしたFPの資格であるCFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を持ち、「看護師FP」として、がん患者専門の家計相談を行う。NPO法人がんと暮らしを考える会の相談員でもあり、医療機関でお金と仕事の相談事業にも従事している。

先頭へ

前へ

2/2 page

がん
キーワード一覧へ

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 痛風だけじゃない!「高すぎる尿酸値」のリスク

    尿酸値と関係する病気といえば「痛風」を思い浮かべる人が多いだろう。だが、近年の研究から、尿酸値の高い状態が続くことは、痛風だけでなく、様々な疾患の原因となることが明らかになってきた。尿酸値が高くても何の自覚症状もないため放置している人が多いが、放置は厳禁だ。本記事では、最新研究から見えてきた「高尿酸血症を放置するリスク」と、すぐに実践したい尿酸対策をまとめる。

  • 早期発見、早期治療で治す「大腸がん」 適切な検査の受け方は?

    日本人のがんの中で、いまや罹患率1位となっている「大腸がん」。年間5万人以上が亡くなり、死亡率も肺がんに次いで高い。だがこのがんは、早期発見すれば治りやすいという特徴も持つ。本記事では、大腸がんの特徴や、早期発見のための検査の受け方、かかるリスクを下げる日常生活の心得などをまとめていく。

  • 放置は厳禁! 「脂肪肝」解消のコツ

    人間ドック受診者の3割以上が肝機能障害を指摘されるが、肝臓は「沈黙の臓器」だけあって、数値がちょっと悪くなったくらいでは症状は現れない。「とりあえず今は大丈夫だから…」と放置している人も多いかもしれないが、甘く見てはいけない。肝機能障害の主たる原因である「脂肪肝」は、悪性のタイプでは肝臓に炎症が起こり、肝臓の細胞が破壊され、やがて肝硬変や肝がんへと進んでいく。誰もが正しく知っておくべき「脂肪肝の新常識」をまとめた。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.