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ストレス解消のルール

「風邪は抗生物質で治る」は間違い 薬の効かない体になることも?

抗生物質信仰NGルール

 結城未来=健康ジャーナリスト

症状が長引けば抗生物質が処方されることもある

 実は私、以前、風邪が長引いてしまって医療機関に駆け込んだ際に「抗生物質を処方しましょう」と言われた記憶がある。効かないのに処方されてしまったのだろうか?

――迎教授「それはウイルス感染から細菌感染に変わったからでしょうね。目安は『たんを伴う』かどうかです」

 風邪を引いて「たん」が気になりだすのは、引き始めよりも長引いたときという印象がある。

――迎教授「どちらかというと、ウイルスによる風邪の場合はたんよりもせきが目立ちます。症状が長引いて膿性痰(のうせいたん)つまり緑色の汚いたんが出てきたら、『細菌による感染症に移行したのではないか』と医師は疑います。細菌感染ならば、抗生物質が有効になるのです。ちなみに、肺炎や慢性細菌感染、結核などの細菌感染症でもたんを伴います」

 風邪から「細菌感染に移行する」ことがあるのは、どうしてだろうか?

――迎教授「ウイルス感染により免疫力が弱くなったり正常な気道粘膜が傷つけられたりすると、細菌に感染しやすくなるのです」

 『細菌感染症』と診断されて抗生物質を処方された際に、注意することはあるのだろうか?

――迎教授「症状が改善したからといって、自己判断で抗生物質をやめたり量を減らしたりしてはいけません。感染症をぶりかえしてしまう恐れがありますし、薬が減れば体内に生き残っている病原菌が薬に慣れて耐性菌に変わってしまうリスクもあります。体内から完全に病原菌がいなくなるように、薬は医師から処方された量と回数通りに飲み切ってください。また、薬である以上抗生物質も副作用が出ることがあるということも分かっておいていただきたいですね」

 抗生物質が効かなくなる薬剤耐性は、今や世界的な脅威だ。

 日本では政府が11月を「薬剤耐性(AMR : Antimicrobial Resistance)対策推進月間」に定めている。

――迎教授「新型コロナウイルスも怖いですが、肺炎・尿路感染症・菌血症などの細菌感染症の脅威も忘れてはいけません。抗生物質の効かない耐性菌は20、30年前よりも確実に増えています。そのためにも、まずは『抗生物質を無駄に飲まない、飲み方を間違えない』ことが非常に大切です」

 風邪やインフルエンザに加え、今年は新型コロナウイルスの脅威が吹き荒れている。

 手洗い、うがい、マスクなどの感染症対策はもちろん、処方された「薬」は正しい飲み方を心がけ、「薬の効く」体で、あらゆる感染症に打ち勝ちたいものだ。

<抗生物質信仰NGルール>

ルール 1

「風邪を引いたから」と、医療機関でむやみに「抗生物質」を欲しがるのはNG

ルール 2

「治ったから」と自分の判断で薬の服用をやめるのはNG
必ず、処方通りの量と期間を守り、処方分を飲みきる

ルール 3

「自分は大丈夫」だと手洗いなどの感染対策を怠るのはNG
感染症の予防には手洗い、うがい、マスク、ワクチンを忘れずに

(イラスト:斎藤ひろこ[ヒロヒロスタジオ])

迎寛(むかえ ひろし)さん 長崎大学病院副病院長。長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 展開医療科学講座 呼吸器内科学分野(第二内科)教授
迎寛(むかえ ひろし)さん 1985年長崎大学医学部卒業後、長崎大学医学部第二内科、宮崎医科大学第三内科を経て、97年カナダブリティッシュコロンビア大学 Pulmonary Research Laboratory留学。2007年長崎大学大学院医歯薬学総合研究科准教授。09年産業医科大学医学部教授。15年長崎大学大学院教授、19年長崎大学病院副病院長に。
結城未来(ゆうき みく)
エッセイスト・フリーアナウンサー
結城未来(ゆうき みく) テレビ番組の司会やリポーターとして活躍。一方でインテリアコーディネーター、照明コンサルタント、色彩コーディネーターなどの資格を生かし、灯りナビゲーター、健康ジャーナリストとして講演会や執筆活動を実施している。農林水産省水産政策審議会特別委員でもある。

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