「風邪は抗生物質で治る」は間違い 薬の効かない体になることも?
抗生物質信仰NGルール
結城未来=健康ジャーナリスト
風邪のはやる季節だ。医療機関を受診する人も目立ちそうだが、気を付けなければならないのは「抗生物質信仰」に陥っていないかということ。もし、「抗生物質を飲んでおけば安心」だと思っているのなら、「薬が効かない体」になっている可能性がある。近年、この問題が世界中で広まっているのをご存じだろうか? 「特に風邪のはやるこの時期は注意が必要」だと警告を発する長崎大学大学院の迎寛教授に「抗生物質信仰NGルール」を教わった。

風邪を引けば、「自分で治す」と、薬を飲まずに汗をかくほど暖かくしてとにかく寝ては、野生児のごとくムリヤリ(?)風邪を治すのが私の流儀だ。
とはいえ、風邪になると高熱に加えて「せき」が辛い。前回記事「周囲の目が気になる『せき』 止めるのNG、姿勢を変えると軽減も」でも書いたが、「せき1回で2キロカロリーも消費」するといわれているのだから、一晩中寝込んでせきをしていれば、体中が疲弊するのは間違いない。そのため、風邪のために医療機関に駆け込む姿にも合点がいく。
「風邪を引いたから抗生物質を下さい」は間違い
――迎教授「結城さんは正しい治し方をしていますね。本来、風邪は自分の免疫力で治すもので、薬で治すものではありません。あくまで薬は症状を和らげるためのもの。風邪のウイルスを全滅させるものではないのです」
とはいえ、風邪を引くたびに「あぁ、クリニックで『抗生物質』をもらったから安心だ」とつぶやく声を耳にしては、「抗生物質は無敵なのか!?」と思ったこともある。
――迎教授「それが、現在医療で問題になっている部分なのですよね。まず気を付けていただきたいのは、医療機関で『風邪を引いたから抗生物質を下さい』と、気軽に言わないでいただきたいということです」
抗生物質は体によくないのだろうか?
――迎教授「いえいえ、そういうことではなく、風邪の『ウイルス』には効かない」ということです。風邪は、ノドや鼻にウイルスが感染することで炎症を起こす疾病です。『抗生物質』は『細菌』には効きますが、『ウイルス』には効果がありません。当然、新型コロナウイルスやインフルエンザにも効かないですね」
病原体としては、「ウイルス」や「細菌」などがあり、大きさや構造が違う。そのため、「細菌」に効く抗生物質は、「ウイルス」には効かないということのようだ。
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