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ストレス解消のルール

つらい体験は言葉にしてみる ストレス和らぐ心の整理術

ストレスと上手に付き合うためのヒント

 結城未来=健康ジャーナリスト

――内山教授「仕事の悩みやストレスを解消するために、同じことに関わっている同僚に話すことは一見、良いことに思えるかもしれません。でも、状況が分かっていれば、必ず分かり合えるものだと思いますか?」

 同じ環境にいても、感じ方や考え方は人それぞれだ。いくら普段「気が合う」と思っていた同僚でも、本音は違うかもしれない。

――内山教授「その通りです。しかも、自分の話をしたら相手の話も聞く必要が出てきます。このような状況で、自分の気持ちを整理するのは難しいものです。場合によっては話をしたことで、感じ方の違いや誤解が生じ、人間関係に悪影響が出たり事態が悪化する危険があります」

 では、家族にはどうだろう? 帰宅後に家でグチをこぼしたくなることもあるだろう。

――内山教授「家族でも、その出来事の内容や相手の考え方次第だと思います。話をする目的は、あくまでも自分の体験したことや感じた気持ちを言葉にして整理をしていくことです。あまり意見をしない第三者に話すほうが、かえって苦労が少ないと思います」

 「第三者」というのは、専門医などだろうか? ただ、気軽に受診することに抵抗を感じる人も少なくないだろう。

――内山教授「ストレスになる場所が仕事なら、仕事から離れた趣味の場などで、あたかも物語を話すようにさらっと話すのがよいかもしれません。聞き手には、話の内容に興味や関心を示すことなく、『ただ聞いてくれる人』を選ぶのがよいと思います。目的は、話をしながら自分の気持ちを整理することなのですから、聞き手選びは重要です」

話したい相手がいなければ、日記でいい

人に話せない時は、文字で言葉にするのも一策だ。写真はイメージ=(c)Galina Peshkova-123RF

 利害関係のなさそうな相手を見つけられない場合は、どうすればよいだろうか?

――内山教授「『日記』はいかがでしょう。『文字で言葉にする』のも一つのやり方です。文字にしろ、会話にしろ、モヤモヤした気持ちを言葉にすれば、記憶の箱にラベルを貼れます。言葉を使って記憶の整理を進めていけば、複雑な状況でのとてもつらい体験がいつの間にか歴史の中の出来事の一つになり、自分史の中に組み入れられていくのです。劇作家や小説家の中には、こうした自らの体験を言葉を使って整理する過程で素晴らしい作品を創作した人も多いです」

 「なんとなく嫌な気分」や「つらい気持ち」は、うるさいハエのように何をしていても自分の周りを飛び回り、歩きだそうとする自分の行く先に暗闇をつくる。そんなストレスと上手に付き合うために大切な作業が、「言葉」という人間特有のツールを使った「体験と記憶の整理」だ。まずは心を整理することで「自分自身を納得させること」が、前向きに歩きだすための大きな一歩につながるようだ。

<ストレスと上手に付き合うためのルール>

(1)

具体的に葛藤しているストレスなら、決断の背景を明らかにすべし

(2)

モヤモヤしたつらい感情は、「言葉」として客観的に表現できるようにすべし

(3)

話をするなら、ただ聞いてもらうだけ。意見を求めてはいけない

(4)

利害関係の全くない人を選んで話すべし

(5)

日記などで言葉にすることも有効と心得るべし


内山真(うちやま まこと)さん
日本大学医学部精神医学系主任教授
内山真(うちやま まこと)さん 1954年生まれ。東北大学医学部卒業。ドイツ留学、国立精神・神経センター(現・国立精神・神経医療研究センター)精神保健研究所精神生理部部長などを経て、2006年より現職。日本睡眠学会理事長、日本臨床神経生理学会理事、日本時間生物学会理事など。『睡眠のはなし』(中公新書)、『睡眠学の権威が解き明かす 眠りの新常識』(KADOKAWA)など著書多数。NHK「きょうの健康」をはじめ、メディアへの出演も多い。
結城未来(ゆうき みく)
エッセイスト・フリーアナウンサー
結城未来(ゆうき みく) テレビ番組の司会やレポーターとして活躍。一方でインテリアコーディネーター、照明コンサルタント、色彩コーディネーターなどの資格を生かし、灯りナビゲーター、健康ジャーナリストとして講演会や執筆活動を実施している。

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