夏の寝苦しさを解消する3つの快眠ルールとは?
眠れないストレスを解消する快眠ルール
結城未来=健康ジャーナリスト
クーラーが苦手な人はどうすればいい?
かくいう私はかなりの冷え性で、クーラーが苦手だ。暑い季節でもクーラーが効いている部屋や天気が悪く肌寒い日には、靴下をはかないと寒くて眠れない。「靴下をはいて眠ると、安眠できないよ」とアドバイスをしてくる人もいるが、靴下をはかないとすぐに足先が冷たくなって眠れなくなるのだから仕方ない。でも、本当に靴下をはくことは睡眠に良くないのだろうか?
――内山教授「結城さんのように冷え性の人が靴下をはいて眠るのは、正解です。
冷え性の人の体は、寒さに敏感に反応しがち。体は寒さを警戒して熱を逃がすまいと血管を閉じてしまい、手足が冷たくなりがちなのです。そのため手足から熱がうまく逃げず、深部体温も下がりにくくなって寝つきが悪い。反対に、靴下や手袋の着用で温かく感じれば、安心して血管が開き手足が温かくなって熱を逃がして眠れるのです」
冷え性ではすぐに体が冷たくなるので、寒い冬や夏のクーラー環境では眠りにくいものと諦めかけていたが、熱の放出メカニズムを知ると、自分で工夫できそうだ。
それにしても、ちまたには体を冷やして熱帯夜を乗り切るための商品があふれている。首や頭、おでこを冷やすものなど、どれを選べば良いのだろう。
――内山教授「医療の現場では解熱剤を使いにくい患者さんの場合、わきの下を冷やします。太い血管が走っているわきの下や足の付け根を冷やせば、効率的に体の中心部を冷やせるのです。私も暑い日にはスポーツ用の氷のうで軽くわきの下を冷やしていますが、眠りやすいですよ」
では、わきの下を冷やすことがお勧めだということだろうか?
――内山教授「そうとは限りません。気を付けていただきたいのは、誰にでも通じる方法はないということです。暑がりや寒がりの人もいますし、体調にも左右される。私にとって良くても、他の人にとってはもっと良い方法があるかもしれない。生きていくために適した環境を選ぶ人間の調節機能で一番重要なのは、『心地良さ』を感じること。睡眠の仕組みを知って、あとは『自分にとって何が心地良いか』を見極めることが大切です」
手足が温かくなり熱を逃がせば深部体温は下がって眠くなりやすいし、活動の準備をする朝方は熱を逃がさないように手足は冷たくなって深部体温は上がる。
暑さで体内の熱を下げにくいなら、手足から熱を逃がしやすくするために「室温を下げる」「目を温める」「体を冷やすためのシートや氷枕などを活用する」など、やり方はいろいろだ。「睡眠は体の内部の熱を下げることから始まる」と心得て、1年中変わらず快眠生活を楽しみたいものだ。
<夏の睡眠をスムーズにする快眠ルール>
ルール 1
睡眠時には、深部体温をスムーズに下げることが大切
ルール 2
目を温めれば深部体温を下げやすくなるが、夏は室温コントロールにも配慮すべし
ルール 3
自分にとって「心地良い」と感じる快眠グッズを見つけるべし
(イラスト:斎藤ひろこ[ヒロヒロスタジオ])

エッセイスト・フリーアナウンサー
