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ストレス解消のルール

ストレスはないより多少あるほうがいい じつは心の健康に不可欠

決して悪者ではない、ストレスの正体

 結城未来=健康ジャーナリスト

――内山教授「私たちが『ストレス』と呼んでいるような心の負荷は、うまく乗り越えられた時にこのうえない達成感をもたらします。いわばストレスは『生きる幸せを感じさせてくれるもの』でもあるのです。そう考えると、『ストレスが全くない生活が理想的な心の健康状態』とは言えない気がしてきます。心の健康とは、ストレスによる疲れと、そこからの回復を行ったり来たりする中で得られる、もっとダイナミックなものだと思います」

心の健康は、ストレスがないスタティックな状態ではなく、休養による回復とのダイナミックな平衡状態といえる。原画=(c) Khoon Lay Gan-123RF ※「健康日本21こころの健康づくりの目標達成のための休養・睡眠のあり方に関する根拠に基づく研究 : 平成17-19年度総合研究報告書」掲載の図を基に編集部で作成
[画像のクリックで拡大表示]

大事なのは、疲労と回復のバランス

 ただ、私などは大変なことが重なると、ストレスでペシャンコに押しつぶされてしまいそうになることも少なくない。

――内山教授「私も、困難に対して前向きに対処しようとつい無理をして、うまくいかず苦しい思いをすることがよくあります。確かに、適度なストレスは生きがいにつながりますが、ストレスが過剰だったりストレスにうまく対処できなかったりすると、とても大変。バランスが重要です」

 なんとか乗り越えられるヒントはないだろうか?

――内山教授「具体的にストレスとなる原因を減らす工夫も必要です。さらに大切なのが、先ほどお伝えした『ストレスによる疲労と回復のバランスがとれる』ことです。

 生物全般にとって最も強いストレスとは、生死に関わるものです。そうした緊急事態では、そこから全力で逃げ出すか戦うかしか生き延びる術はありませんので、瞬発力が必要になります。そこで私たち生物は、強いストレスを感知、つまり非常事態を認識すると、まず何とかそれに打ち勝つべく瞬発的な力を発揮できるようにします。

 具体的には、まず大脳辺縁系が働き、脳の視床下部、下垂体から次々指令が出て、副腎皮質でストレスホルモンであるコルチゾールがつくられます。これが血液中のブドウ糖を増やして血糖値を高め、瞬発的な力の発揮に必要なアドレナリン産生を一気に促します。非常事態に対し交感神経を高めて対処するわけです。そうなると、脈拍は高くなり血圧も上昇します。精神的にも高ぶった状態になるので、眠れなくなります」

 ストレスを感じると、ここまで体に大きな変化が表れるとは驚きだ。

ストレスを感じている時、体の中では大変なことが起きている。写真はイメージ=(c)alphaspirit-123RF

――内山教授「とはいえ、これはあくまで緊急事態に直面した際の一時的な体の反応です。こんな状態が長く続くと、体は通常の状態をうまく保てなくなってしまいます。血糖値、脈拍、血圧まで高いままになってしまうと、健康面で破綻。精神的にも高ぶった状態が続いてしまうため、心の健康が保てなくなってしまうのです」

 これはゆゆしき状態だ。

――内山教授「ですから、このように緊急事態に対する反応が起こると、次にこれを収束する働きが出てきます。ストレスホルモンであるコルチゾールが一定以上高い状態が続くとフィードバックがかかり、コルチゾール自体がこれを高める命令を出していた視床下部、下垂体の活動を抑えるので、平常の状態に速やかに戻っていくのです」

 緊急事態で大きなストレスを感じても、体を壊さないようにいったん収束し、速やかに落ち着き回復するのが通常のメカニズムということらしい。人間の体はよくできているものだと感心してしまう。

――内山教授「重症の『うつ病』では、このストレスホルモンであるコルチゾールが夜になっても高いままで、うまく回復しなくなっているという報告もあります。つまり、うつ病により心の健康が保てなくなった状態とは、本来は緊急事態的な心身の反応の一部が続いている状態と解釈できるのです」

 では、スムーズに回復状態に戻すにはどうしたらよいのだろうか?

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