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ストレス解消のルール

医師もお手上げの「耳の薄毛」 難聴の原因は毛だった?

耳の薄毛にならないためのルール

 結城未来=健康ジャーナリスト

 いわば、蝸牛は私たちが音を感じるための「楽器」だ。どの楽器でも言えることだが、酷使されるパーツはダメになりやすい。耳の中でも、酷使される高音域鍵盤である毛は劣化しやすいという。

――八木医師「頭の毛髪と同様に、この毛も加齢とともに減ってくるので、毛のない細胞になりがちなのです」

 でも、「毛」なのだから、なくなってもまた生えてきたりはしないのだろうか?

――八木医師「再生しません。この毛は、一度減ってしまうと増えることはありません

 なんと! なくなると、二度と生えてこないとは!?

――八木医師「残念なことに、一度ダメージを受けると、その音域は脳に伝わらなくなってしまいます」

耳の薄毛は高音から始まる

子音が聞こえるづらくなったら、要注意!? 写真はイメージ=(c)9nongn-123RF
子音が聞こえるづらくなったら、要注意!? 写真はイメージ=(c)9nongn-123RF

 耳の薄毛は高音から始まるので、高い音になりがちな「子音」は聞こえづらくなる。「久しぶり」の「ひ(hi)」が「し(si)」に聞こえて「しさしぶり」と、江戸っ子さながらの聴き間違えになりかねない。

――八木医師「携帯電話やスマートフォンの着信音には高音域の周波数を含んでいるものが多い。高音が聞きづらい人の場合、着信音を小さくしておくと、周囲の人が気づいているのに本人が気づかないこともあります」

 この話を聞いていた編集部の担当O女史が突然、「あ!先日、静かな場所で、スマホの着信音が鳴っているのに全く気づいていない人がいました。周囲の人は皆気づいているのに、その人だけ気づいていなくて『なんでだろう?』と思っていたのです。これで理由が分かりました!!」とうれしそうに叫んだ。

 会社でも、会議中のスマホの着信音に、周囲は「なんだ、うるさいな。誰のスマホだ?」と苦い顔をしているのに、本人には聞こえず、恥をかく…なんていうこともあり得るのだ。

 加齢とともに、頭髪の量を気にする人は少なくないだろう。頭の毛も大切だが、耳の毛にも気を配る生活をしなければ、コミュニケーション障害による大きなストレスを引き起こしかねない。

――八木医師「外耳や中耳などの疾病は私どもでなんとか治療ができるものです。一方、耳の老化のほとんどは内耳で起こります。内耳にある有毛細胞の『毛』の減少は現代医療では治りません。生活上で減らさないような予防につきます」

 前回記事「怒りをまき散らすあの人のパワハラ、じつは『耳の老化』が原因かも」でも書いたが、耳の老化スピードは、生活の仕方に大きく関わる。30代で、すでに老化はスタート。高齢でなくても、耳年齢は高齢者並みという人も少なくない。そこで、「耳の薄毛にならないためのルール」を書いた。今からでも、実践しよう。

<「耳の薄毛」にならないためのルール>
(1)「過度に大きな音を長時間聴かない」
⇒イヤホンを使用するなら、地下鉄などの音の大きい車内で周囲に聴こえるような音量にならないよう注意。適正音量と時間でマナーと耳のケアを心がけよう。
(2)「生活習慣をきちんとしよう」
⇒頭の毛と同様に、耳の毛にも生活習慣病は悪影響。太り過ぎ・糖尿病・高血圧などで血液の循環が悪化すると、耳の毛はダメージを受けやすい。
(3)「過度なストレスをなくそう」
⇒頭の毛と同様、ストレスは耳の毛にも悪影響。「ストレスが続くと、交感神経が優位になります。すると、血管は収縮し続け、耳の血流にも悪影響を及ぼします。交感神経と副交感神経のバランスのとれた生活が、耳にも優しいのです」(八木医師)
(4)「喫煙はNG」
⇒「耳には、細い血管がたくさん走っています。ニコチンで末梢血管が収縮し血流が悪くなると、内耳にも悪影響が出る可能性が大きくなります」(八木医師)
(5)「突発性難聴の可能性があったら、すぐに専門医へ」
⇒突然、聞こえが極端に悪くなり、耳鳴りがやまない、耳閉感(耳が詰まったような感じ)などの不調が出たら、すぐに専門医へ。「有毛細胞がダメージを受けた場合、時間がたつと改善はできても完治ができない」(八木医師)。大事な毛を救うには、1週間以内の早急な治療が必要だ。

八木昌人(やぎ まさと)さん
東京逓信病院耳鼻咽喉科部長
八木昌人(やぎ まさと)さん 1984年群馬大学医学部卒業。東京大学耳鼻咽喉科、武蔵野日赤病院耳鼻咽喉科部長を経て、現職。専門分野は、難聴、めまい、顔面神経麻痺、中耳炎、頭頚部腫瘍。日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本気管食道科学会認定専門医、日本めまい平衡医学会めまい相談医、難病指定医。
結城未来(ゆうき みく)
エッセイスト・フリーアナウンサー
結城未来(ゆうき みく) テレビ番組の司会やレポーターとして活躍。一方でインテリアコーディネーター、照明コンサルタント、色彩コーディネーターなどの資格を生かし、灯りナビゲーター、健康ジャーナリストとして講演会や執筆活動を実施している。

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