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未来を変えるアンメット・メディカル・ニーズ最前線

「利便性」だけじゃない! オンライン診療の本当の実力

行動変容を促し、生活習慣病を改善

 荒川直樹=科学ライター

医師と患者さんの新しいコミュニケーション手段に

確かに、これまでの外来診療では、定期的にきちんと通院される患者さんでも、通院と通院の間の病状や生活習慣について、医師は知る方法がありませんね。

武藤  そのことが問題視されるようになった背景には疾病構造の変化があります。かつての病気は感染症が中心。病原体を明らかにして使用する薬剤を選べばいい。そこには患者さん自身が積極的に治療に関与する必要はありませんでした。

 それに対して現在、人々の健康を脅かしているのは、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病です。生活習慣、社会的要因、遺伝的要因、経済的要因と、さまざまな要因が病状に関わるなか、医師にとって薬の処方以上に大切なことは、患者さん自身に食習慣、運動習慣などの「行動変容」を促すことです。

 現在の外来診療がそれに応えているかというとちょっと心もとない。これまでの外来診療では通院と通院の間に患者さんがどのような生活を送っているかはほとんど分かりません。生活改善を指導するなど、患者さんの行動変容を促す努力もしていますが、月に1度の指導で習慣を変えることは難しいでしょう。

繰り返し、繰り返し指導して、やっと患者さんの行動変容につながる。そのためには、オンライン診療のような医師と患者さんの新しいコミュニケーション手段に対する期待が高まりますね。

「疾患構造の変化があるので、新しいコミュニケーション手段が必要」と話す武藤医師。(写真:的野弘路)

超高齢化で通院が難しい時代には新しい仕組みが不可欠

武藤  オンライン診療に注目した2つ目の理由は、患者さん側が抱える問題です。日本の医療は世界的に見ても優れた皆保険制度とフリーアクセスがある一方で、高齢化の問題が深刻化しています。認知症のように、病院に行くことを忘れてしまう、病院に行ったら帰ってこられないといった問題が既に現実のものになっています。やがて、患者さんが外来にきちんと通うことが難しくなる時代がやってくるのです。

 一方で、地域医療の担い手を見ても、医師、看護師、介護従事者の高齢化も進んでいます。医療従事者の方から患者さんの方に出向くことも、今後、難しくなってくる。超高齢社会を迎えるなか、必要とされているのは「患者さんが通院する」「医療従事者が出向く」という2つのことを補完するシステムなのです。

 そして3つ目は、アドヒアランス(adherence)の問題です。アドヒアランスとは、患者さんが積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けることを意味します。例えば、糖尿病の治療では服薬以上に食事療法、運動療法が重要です。それを患者さんと医療従事者の協働作業でやっていくわけですが、やっぱり人間というのは忘れたり、面倒くさくなったりするし、なかなか決められた通りにはできない。人間の弱さも当然ある。それを支援する新しい仕組みが必要だろうと考えていました。

 私自身、従来の診療システムのなかではこの3つの問題をなかなか解決できませんでした。それならばオンライン診療の「オンライン問診」「モニタリング」「オンライン診察」機能を活用して、これまでできていないことを実現したい。私たちは、そういった思いから「YaDoc」の開発に取り組み、現在に至っています。

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