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未来を変えるアンメット・メディカル・ニーズ最前線

医師が処方する「治療アプリ」が登場間近

まずは禁煙治療で実用化、米国には「新薬に匹敵する効果もある治療アプリ」も

 荒川直樹=科学ライター

医学とIT、プログラムにも強い専門医師とタッグして開発を加速

佐竹さんは、米国から帰国後、国内で「治療アプリ」を実現するため、2014年に医療系テクノロジー・ベンチャー企業「キュア・アップ」を設立されました。現在は、ニコチン依存症治療アプリ「CureApp禁煙」の治験を実施中。NASH(非アルコール性脂肪肝炎)治療アプリ「NASH App」の臨床研究にも取り組んでいらっしゃいますが、開発は大変ではないですか。

佐竹 私にとっては初めてのことばかりでした。しかし、共同創業者の鈴木普は医師でもありながらバイオインフォマティクスの専門家でプログラマーでもありました。鈴木を筆頭にいいメンバーが集まり、アカデミアからみても優れたソフトウエアを開発することができました。ただ、医学とIT、2つのスペシャリティを密に結びつける環境を作り出すのは、やはり難しかったですね。

2019年にも保険適用が期待されているニコチン依存症治療アプリ「CureApp禁煙」は、どのようなものなのですか。

ニコチン依存症の治療アプリ「CureApp禁煙」は、通常5回ある禁煙の診療の間にも治療をサポート。吸ってしまった本数、その日の気分や、プログラムの進捗状況をスマホで入力すると、適切なアドバイスが届いて、治療効果が高まる仕組み。
[画像のクリックで拡大表示]

佐竹 まず、一般的な禁煙外来では、患者に3カ月間で5回通院していただき、パッチ薬、経口薬などを処方しながら禁煙を目指します。ここで重要なのは、ニコチン依存症の依存には2通りがあるということです。一つは「身体的依存」で、タバコをやめると頭痛、イライラ、吸いたくてたまらない気持ちなど禁断症状が出ます。もう一つは「心理的依存」で、朝起きたときに無意識にタバコに手を出してしまうなど、患者の考え方や生活習慣に起因する依存です。

そのうち禁煙補助薬で軽減できるのは身体的依存だけですね。

佐竹 その通りです。禁煙治療の多くが失敗しているのは、心理的依存に対するアプローチが弱かったからだといえます。そこで、患者の考え方や生活習慣により深くアプローチするのが「治療アプリ」なのです。患者は、吸ってしまった本数、その日の気分、処方された禁煙プログラムの進捗状況などをスマホで入力。データはクラウドに上げられ、適切なアドバイスが患者に届きます。

「CureApp禁煙」では、アプリと患者がコミュニケーションをとることで、タバコへの心理的な依存を緩和する。
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 2015年に慶應義塾大学病院で行った臨床試験では、治療アプリを使った群では、使わなかった群と比較して高い治療効果が得られました。2017年の12月からは薬事承認をとるための治験を始めました。治療アプリとしては日本で最初で、2018年中には結果がまとまります。2019年には、公的医療保険が認められることを目指しています。

「CureApp禁煙」と共に、一般的な健康プログラムとしてのアプリ開発も行っているそうですね。

佐竹 はい。こうした保険適用されるような本格的な「治療アプリ」の開発が私たちの最も重要な仕事ですが、臨床研究するなかで、いいエビデンスが出ているものに関しては病院だけでなく、健康保険組合、企業の人事部、保険会社などを対象に非医療としてのモバイルヘルスプログラムの開発を行っています。

 例えば、法人向けの健康増進プログラム「ascure(アスキュア)卒煙プログラム」の提供も、2017年4月より開始しています。同様に、ニュージーランド・オークランド大学が開発したうつ病に対する認知行動療法を取り入れたアプリとオンラインカウンセリングを組み合わせたメンタルヘルスプログラムの提供も行っています。

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