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未来を変えるアンメット・メディカル・ニーズ最前線

アトピー性皮膚炎の期待の新薬、根本的な治療になる可能性も

第2回 発症機序にピンポイントに作用、かゆみを抑えて症状の悪循環を解消

 荒川直樹=科学ライター

効果は高いが、自己負担額も高い。将来は自己注射も

近い将来、自己注射も認められる可能性が高い。(写真はイメージ、薬剤はデュピクセントではありません)(c) pejo-123RF

 中等度~重度のアトピー性皮膚炎患者にとって、期待の新薬となったデュピルマブだが、患者にとって治療のハードルとなるのは薬価だ。「デュピクセント皮下注300mgシリンジ」1本の薬価は8万1640円。初回は2本打つので、3割自己負担の場合でも治療費は約5万円。2回目以降は2週ごとに1本打つので約2万5000円年間で60万円ほどの自己負担となる。

 医療機関に注射に行く回数については、今後自己注射が認められる可能性があるので、負担は減っていきそうだ。乾癬などの別な慢性皮膚疾患の治療薬にも生物学的製剤(抗体医薬)が用いられているが、発売後1年ほどで自己注射が認められると同時に3カ月処方が可能になっている。

他のアレルギー疾患に対する臨床試験も開始

 デュピルマブは、リジェネロンとサノフィによって共同開発され、2017年3月に米国で、10月に欧州(EU)で先行して承認されている。とくに米国では「画期的治療薬」として指定され、通常1年かかる審査が6カ月で承認に至っている。現在、北米ではリジェネロンとサノフィの両者、日本ではサノフィが単独で販売している。18年の1~3月期だけで、世界の売上高は1億700万ユーロ(約128億円)、そのうち北米は9500万ユーロ(約113億円)と大型商品へと育っている。

 デュピルマブはアトピー性皮膚炎以外のアレルギー疾患の治療薬としても開発が進められている。田中氏は「IL-4とIL-13をターゲットとした抗体医薬なので、その作用が期待されアンメット・メディカル・ニーズがある疾病で貢献できるものがあればしていく」と話している。すでに喘息の治療薬としての申請も行っている。

 アトピー性皮膚炎をはじめ食物アレルギー、喘息、花粉症など、現在、日本人の2人に1人は何らかのアレルギー疾患にかかっていると考えられており、疾病による経済的、社会的損失は莫大なものになりつつある。抗体医薬の進歩がアレルギー疾患対策に大きく貢献することを期待したい。

修正履歴
1ページ目の「デュピルマブでの治療対象」の欄外に、「※そのほか『顔面の広範囲に強い炎症のある皮疹がある場合』も対象となる。」という一文を追加しました。[2018/7/24]
佐伯秀久(さえき ひでひさ)さん
日本医科大学大学院医学研究科皮膚粘膜病態学分野 大学院教授
佐伯秀久(さえき ひでひさ)さん 1991年3月東京大学医学部卒業。6月東京大学医学部附属病院皮膚科での研修医を経て、92年同分院皮膚科助手。93年関東労災病院皮膚科医員、95年東京逓信病院皮膚科医員を経たのち、96年東京大学医学部皮膚科助手。97年8月米国国立衛生研究所(NIH)皮膚科に留学し、2000年より東京大学医学部皮膚科助手。01年東京大学医学部皮膚科講師、10年東京慈恵会医科大学皮膚科講師を経て、11年同大学皮膚科准教授となり、14年6月日本医科大学大学院教授(皮膚粘膜病態学)。専門領域は、皮膚免疫、アトピー性皮膚炎、乾癬。
聞き手・企画:藤井省吾
日経BP総研 副所長 メディカル・ヘルスラボ所長
聞き手・企画:藤井省吾 1989年東京大学農学部卒業、91年東京大学大学院農学系研究科修士了、農学修士。91年日経BP社入社。医療雑誌『日経メディカル』記者、健康雑誌『日経ヘルス』副編集長を経て、2008年~13年まで6年間『日経ヘルス』編集長を務める。14年~17年3月まで、ビズライフ局長・発行人。『日経Gooday』前発行人。18年4月から日経BP総研副所長マネジメントソリューション局長兼メディカル・ヘルスラボ所長。

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