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未来を変えるアンメット・メディカル・ニーズ最前線

アトピー性皮膚炎に10年ぶりの新薬が登場、その実力は?

第1回 注射療法で中等度~重度の症状を改善

 荒川直樹=科学ライター

アトピー性皮膚炎に関わる部分だけをピンポイントにブロック

抗体医薬であるデュピルマブと他の治療薬との違いはどこにありますか?

佐伯 ステロイド(副腎皮質ホルモン)外用剤(商品名:ロコイド軟膏、リンデロンV軟膏、アンテベート軟膏ほか多数)、タクロリムス軟膏(商品名:プロトピック軟膏ほか)、シクロスポリン(商品名:ネオーラルほか)など、これまでアトピー性皮膚炎の治療に使われてきた薬剤は、体の免疫システムを広く抑制します。ステロイドやタクロリムスが、基本的に皮膚のみに作用させる外用薬で治療をするのはそのためです。一方、デュピルマブは、免疫システムのうちアトピー性皮膚炎の発症・増悪に関わる部分だけをピンポイントに抑制する医薬品です。このメカニズムにより、有効性と安全性に優れた全身療法を可能にしました。

具体的には、免疫反応のどこを抑え込むのですか。

佐伯 アトピー性皮膚炎では、免疫システムのうち、アレルギー性疾患に関係する「2型炎症反応」が過剰に働いています。この炎症反応で中心的な役割を果たしている免疫細胞がTh2細胞(2型ヘルパーT細胞)と呼ばれる細胞です。Th2細胞からはIL(インターロイキン)-4、IL-13という司令を伝達する物質(サイトカイン)が放出され、それによってアトピー性皮膚炎の発症に関わる皮膚バリアの機能低下、炎症の促進、かゆみ誘発などがもたらされることが分かっています。

 デュピルマブは、IL-4、IL-13に対する抗体医薬です。これら二つのサイトカインの受容体分子に結合して、その後の司令伝達をピンポイントで阻害することで、炎症やかゆみを抑えます。さらに皮膚のバリア機能を正常化させ、アトピー性皮膚炎の「悪循環」から抜け出すのを助ける働きがあります。

表 アトピー性皮膚炎の主な治療薬と使い方
作用範囲治療での使い方
ステロイド外用剤
(副腎皮質ホルモン剤)
広い外用剤で皮膚にだけ効かせる。指示された適量と回数を皮疹に塗る。
タクロリムス軟膏
(アトピー性皮膚炎治療剤)
広い外用剤で皮膚にだけ効かせる。ステロイド外用剤が使えない部位などに塗る。
シクロスポリン
(免疫抑制剤)
広い飲み薬で1日2回。連続服用は3カ月まで。
デュピルマブ
(抗体医薬・生物学的製剤)
ピンポイント
(IL-4、IL-13のみ)
注射薬で2週に1回、皮下注射する。

これまでも、最重症例・難治例への全身療法としてシクロスポリン(商品名:ネオーラルほか)の内服療法がありましたが。

佐伯 シクロスポリンは臓器移植の拒絶反応の抑制にも用いられる免疫抑制剤の一つで、成人の最重症例・難治例の治療法として使われて一定の成果を得ています。しかし、先ほどお話ししたように作用する範囲が広いので、副作用として腎機能障害感染症などのリスクを高める恐れもあります。連続して服用できるのは3カ月間に限られるなど課題も多かったのです。

「デュピルマブで悪循環から抜け出すことで、治験での注射が終了して6カ月後でも改善したままの人もいる」と語る佐伯秀久氏。(撮影:的野弘路)

IL-4、IL-13に限定してブロックするデュピルマブのほうが、中等度~重度の患者への治療として、安全性が高く長期間使えるということですね。標準治療とデュピルマブはどう組み合わせていくのでしょうか。

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