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Dr.今村の「感染症ココがポイント!」

災害後の感染症対策、今後はノロやインフルにも警戒 

マスクは不可欠

 田村知子=ライター

写真はイメージ=(c)pino-123RF

A:インフルエンザは散発的な流行入りとなっており、その発生状況には地域差がある。ボランティアに参加する際は、被災地にインフルエンザを持ち込まないようにするため、症状がなくてもマスクを着用したい。感染している本人が着用することで、万一発症した場合でも、被災地の住民への感染を防ぐことができるからだ。

 マスクがない場合には、「人に向かってせきをしない」「せきをする時は手で口を覆うのは避け、ティッシュや肘の内側で覆うようにする」といったことを心がけたい。

 また、インフルエンザは飛沫感染するだけでなく、感染者が手を介してテーブルやドアノブといった環境を汚染し、他の人がその場所に手で触れ、汚染された手で自分の口や鼻を触ることでも感染する。マスクをすることで、汚染された手で口や鼻に触れることが防げるため、予防的なマスク着用にも一定の効果が期待できる。ただし、「マスクを取る時の手洗い」は怠らないこと。でないと、汚染された手で口や鼻に触れてしまう可能性がある。

 もちろん、飲食前やトイレ使用後の手洗いなども重要だ。水が十分にない場合は、まず汚れを拭き取る。手についた菌やウイルスは、アルコールを含むウエットティッシュや、アルコール性手指衛生剤を活用して消毒するのがお勧めだ。しかし、これから流行期に入るノロウイルスにはアルコールはあまり効果がないので、水があるならば流水での手洗いの方が望ましい。

Q:ノロウイルスでほかに気を付けるべきことは?

A:ノロウイルスは下痢がおさまってからも、数日から数週間にわたり便に排出される。下痢や嘔吐(おうと)などの症状があった人は、症状が落ち着いた後も他者への感染に気を付ける必要がある。ひどい下痢の時は、用を足してから手洗いが済むまでの間に手で触れる「便器の水を流すレバーやボタン」「トイレの個室のドアノブ」「洗面台の蛇口のハンドル」などについて、お尻を拭くのとは反対側の手で触れるように心がけたい。そうすることで汚染を防ぐことができる。

下痢などの症状が表れたら早めに伝える

Q:下痢や嘔吐など食中毒を疑う症状が表れた場合は、どうすればいいか。

A:下痢や嘔吐などの症状が出た場合は、脱水状態にならないように注意し、できれば速やかに医療スタッフに相談をしたい。通常は、食中毒の原因菌が自然に排出されたほうが回復が早いので、下痢止めや抗菌薬は使わないのが一般的だ。ただ、災害時には水不足などが生じ、下痢による脱水対策のポイントとなる十分な水分摂取ができないこともあるので、必要に応じて薬剤を使用することもある。2次感染を防ぐためにも、早めに医療スタッフに相談したい。下痢や嘔吐だけでなく、せきや発熱といった症状が出た場合も同様だ。

 被災後は、普段の生活よりも栄養状態が悪化していたり、復旧作業による疲労の蓄積や体力の低下があったりすることも多く、その場合はより感染症にかかりやすくなる。特に、避難所で集団生活を送る場合は、感染症が発症すると流行が拡大しやすくもなる。

 大変な時だけに、周囲への気遣いから症状や体調不良を訴えるのを遠慮してしまう人もいるが、感染症への対応が遅れると、重症化したり、結果的にほかの人へ感染を広げてしまったりする恐れがある。下痢や嘔吐、発熱やせきといった症状が表れた時には、早めに医療スタッフや周りの人に伝えることも、重要な感染症対策となる。

[『豪雨被災地、今後は食中毒などに注意。手洗いやマスクが基本』を再構成]

今村顕史(いまむら あきふみ)さん
がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長
今村顕史(いまむら あきふみ)さん 1992年浜松医科大学卒業。駒込病院で日々診療を続けながら、病院内だけでなく、東京都や国の感染症対策などにも従事。日本エイズ学会理事などの様々な要職を務め、感染症に関する社会的な啓発活動も積極的に行っている。自身のFacebookページ「あれどこ感染症」でも、その時々の流行感染症などの情報を公開中。都立駒込病院感染症科ホームページ(http://www.cick.jp/kansen/)。

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