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Dr.今村の「感染症ココがポイント!」

風疹は今や大人の感染症、30代以上の男性が多く発症

妊婦の感染には厳重な注意が必要

 田村知子=ライター

 さらに、図2の風疹患者報告数(2018年9月5日時点)を見ると、男性では40代での発症が最多で、次いで30代、50代以上となっています。女性では20代の発症が最も多く、続いて30代が多く発症しています。その大半は、ワクチンの接種歴が不明か一度も接種したことがない人です。20代の女性については、図1と併せ見て「ワクチンを2回接種しているはずなのになぜ」と思う方もいるでしょうが、そのような世代でもすべての人が接種しているとも限りません。また、既にお話しした通り、ワクチン接種をしても十分に抗体のつかない人もいます。実際、図2を見ると、20代の女性にも、抗体を持っていない人がある程度いることが分かります。

 そうしたことがあるとはいえ、男性の方が女性より約4倍も多く発症しているので、ワクチンの接種が1回か未接種の30代以上の男性は、特に、ワクチンの接種が勧められます。

風疹ワクチンの予防接種の状況(2018年9月1日時点)*国立感染症研究所 感染症疫学センター「首都圏における風疹急増に関する緊急情報:2018 年9 月12 日現在」を基に作成
風疹ワクチンの予防接種の状況(2018年9月1日時点)*国立感染症研究所 感染症疫学センター「首都圏における風疹急増に関する緊急情報:2018 年9 月12 日現在」を基に作成

職場ぐるみでの予防が重要

風疹が多く報告されている30~40代の男性といえば、子育て世代でもありますし、働き盛りでもありますね。

 その通りです。ですから、風疹で最も重大な問題となる先天性風疹症候群を防ぐためには、職場での積極的な予防が重要です。先天性風疹症候群を発症する確率が高くなる妊娠初期は、本人が妊娠に気づいていなかったり、周囲にはまだ妊娠を知らせずに働いていたりする場合もあるでしょうから、普段から予防に取り組んでおく必要があります。

 例えば、東京都では職場における「感染症対応力向上プロジェクト」を実施しており、その中には風疹の予防対策を推進する「風しん予防対策の推進」コースが設けられています。参加する企業が従業員の抗体(免疫)の保有状況を確認し、抗体を保有していない人には予防接種などを促します。参加企業は「協力企業」として、抗体保有率9割以上を達成した場合は「達成企業」として、東京都福祉保健局のホームページに企業名が掲載される仕組みです。

そうした対策が企業やほかの自治体にも広まっていくといいですね。

 職場単位でできることはたくさんあります。例えば、ポスターや社内報などで風疹の注意喚起や予防啓発の情報を伝えたり、風疹の既往歴やワクチンの接種歴の確認を促し、抗体が十分でない場合は、ワクチンの接種を勧めたりする。風疹が疑われたり診断されたりした人が出た場合に、休みやすい環境づくりをしておくことも大切です。

 職場を休む期間に特に決まりはありませんが、一般的には学校保健安全法で定められた出席停止の期間に合わせ、「発疹が消失するまで」とされることが多いようです。実際に風疹にかかった場合は、医師の指示に従ってください。

ワクチンの接種を希望する場合は、どのようにすればいいでしょうか。

 風疹のワクチンには、風疹(Rubella)の単独ワクチンか、麻疹(Measles)と風疹を合わせたMRワクチンがあります。そのほか、海外から輸入されたMMRワクチンもあります。MMRワクチンは、麻疹と流行性耳下腺炎(Mumps/通称おたふくかぜ)と風疹を合わせたものです。

 これらのワクチンの接種を希望する場合は、小児科を併設している医療機関や総合病院、小児科診療の可能なクリニック、トラベルクリニックなどに確認してみてください。また、最寄りの保健所に問い合わせてみるのもいいでしょう。

 麻疹の場合は2015年から、日本特有の麻疹が3年以上発生していない「排除状態」となっており、海外から持ち込まれる「輸入感染症」となっています。しかし、風疹はいまだに排除状態とはなっていません。今後も国内で発生し、拡大する可能性が十分ありますし、気づかないうちに妊婦にうつし、生まれてくる子供に影響が及ぶ可能性もあるので、ぜひ積極的に予防を心がけてほしいと思います。

(図版制作:増田真一)

今村顕史(いまむら あきふみ)さん
がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長
今村顕史(いまむら あきふみ)さん 1992年浜松医科大学卒業。駒込病院で日々診療を続けながら、病院内だけでなく、東京都や国の感染症対策などにも従事。日本エイズ学会理事などの様々な要職を務め、感染症に関する社会的な啓発活動も積極的に行っている。自身のFacebookページ「あれどこ感染症」でも、その時々の流行感染症などの情報を公開中。都立駒込病院感染症科ホームページ(http://www.cick.jp/kansen/)。

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