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Dr.今村の「感染症ココがポイント!」

風疹は今や大人の感染症、30代以上の男性が多く発症

妊婦の感染には厳重な注意が必要

 田村知子=ライター

気になる感染症について、がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長の今村顕史さんに聞く本連載。今回は現在、首都圏を中心に大流行の兆しがある「風疹」について話を伺った。

職場での積極的な風疹予防が、「先天性風疹症候群」の予防につながる。写真はイメージ=(c)olegdudko-123RF

【ココがポイント!】

  • 風疹は症状が表れない不顕性(ふけんせい)感染のこともある
  • 潜伏期間が2~3週間あるため、症状が出ないうちに感染を広げてしまう可能性がある
  • 風疹はインフルエンザの2~5倍の感染力がある
  • 主な症状は発熱や発疹、リンパ節の腫れ。大人は子供よりも重症になりやすい
  • 最も重大な問題は、母子感染による「先天性風疹症候群」
  • 予防にはワクチン接種が最善策。ただし、妊婦には接種できないため、妊婦と接する可能性がある人がワクチンを接種しておくことが大切
  • 風疹患者が多く発生している30代以上の男性は特に、積極的にワクチン接種を
  • 職場での積極的な風疹予防が、「先天性風疹症候群」の予防につながる

風疹患者の9割以上が成人、子供より症状が重い傾向も

今年の8月ごろから、千葉県や東京都など関東を中心に「風疹」が発生しています。国立感染症研究所の発表によれば、2018年の全国の風疹累積報告数は、8月29日時点で273人、9月5日時点で362人、9月12日時点で496人、9月19日時点では642人と、いまだに拡大しているようです。この傾向は、まだしばらく続くと考えられるのでしょうか。

 この連載の第1回「感染力強い『はしか(麻疹)』。流行繰り返さないために予防接種を」で取り上げた麻疹(はしか)の場合は、症状が出ない潜伏期間が10~12日間程度あるとお話ししました。一方、風疹にはそれより長い14~21日間程度の潜伏期間があります。そのため、風疹の発生が増え始めた8月末に感染した場合、9月の後半になってから症状が出始めます。

 また、風疹は「不顕性感染」といって、感染しても症状が表れない場合もあり、自分が感染していることに気づかずに、人にうつしてしまうことがあります。8月は夏休みで人の移動が多く、潜伏期間中や無症状のうちに二次感染、三次感染と広がっている可能性があります。今後は関東だけでなく、それ以外の地域での発生にも注意する必要があるでしょう。ちなみに、9月12日時点では、愛知県や静岡県、長野県などでも報告があります。

風疹といえば子供の感染症というイメージがありますが、2012~2013年の流行時には、成人の患者が多かったと聞きます。子供と大人とでは、症状に違いがあるのでしょうか。

 2012年には2386人、2013年には1万4344人の風疹患者が報告されていますが、その約9割は成人の発症でした。今年の9月19日時点の報告でも、約97%が成人の発症です。

 風疹の主な症状は、発熱や発疹、耳の後ろや後頭部などのリンパ節の腫れ。まれに、急性脳炎や血小板減少性紫斑病などを起こすこともあります。

 子供では、発熱がない場合やあっても微熱程度のことが多いのですが、大人では高熱が出ることもあります。また、子供の場合は平らな発疹がポツポツと現れるのが一般的ですが、大人の場合は、その発疹がつながって、全体的に赤くなっていく融合傾向が見られることがあります。

 子供の風疹は麻疹と比べて早く治り、軽症が多かったことから、以前は「三日はしか」と呼ばれることもありました。一方、大人は子供よりも症状が重くなる例が多く認められます。とはいっても、重篤な合併症が起こることはまれです。

 ただし、妊娠20週ごろまで、特に12週ごろまでの妊娠初期の女性が風疹に感染すると、生まれた赤ちゃんが「先天性風疹症候群」を発症する確率が高いため、妊婦の感染には厳重な注意が必要です。

風疹では母子感染による「先天性風疹症候群」の問題が

「先天性風疹症候群」とは、どのようなものなのでしょうか。

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