日経 Gooday

ホーム  > 医療・予防  > Dr.今村の「感染症ココがポイント!」  > 海外旅行後の発熱・下痢、もしかして…疑われる主な感染症

Dr.今村の「感染症ココがポイント!」

海外旅行後の発熱・下痢、もしかして…疑われる主な感染症

「もしや」と思ったら、医療機関に連絡してから受診を

 田村知子=ライター

気になる感染症について、がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長の今村顕史さんに聞く本連載。今回は「海外渡航と感染症」を取り上げる。近年は交通網の発達で、海外渡航がより身近になっている。衛生環境が整った日本で暮らす私たちは、感染症に対する意識が薄れがちだ。しかし、海外ではそれぞれの国や地域で流行している様々な感染症があり、その中には日本では経験しないような感染症も存在している。仕事や旅行で海外を訪れるときや訪れたあとに、知っておきたい情報を伺った。

仕事や旅行で海外を訪れたあと、しばらくして発熱の症状が出たとき、考えられる病気は何でしょう。写真はイメージ=(c)Vadim Guzhva-123RF

【ココがポイント!】

  • 海外渡航における感染症で近年増えているのは、蚊が媒介するデング熱。海外では都市部の観光中にも感染するリスクがある
  • 渡航後に高熱が出た場合に疑われる主な感染症には、デング熱、マラリア、腸チフス、リケッチア感染症、インフルエンザ、A型肝炎など様々な種類がある
  • 渡航後に下痢があったときに疑われるのは、細菌性の腸炎(カンピロバクターや赤痢、コレラなど)。下痢が長く続くときは、原虫が原因のアメーバ赤痢などの可能性も
  • 渡航後の発疹で最も気をつけたいのは、麻疹(はしか)。事前のワクチン接種が有効
  • 帰国後に発熱、下痢、発疹などの症状が表れたときは、渡航感染症の診療実績がある医療機関に連絡をしてから受診を

「デング熱」は都市部の観光でも感染するリスクが

日本政府観光局の発表によれば、2018年の出国日本人数は約1895万人、訪日外客数は約3119万人と、いずれも過去最多となっています。

 今は交通網の発達で海外を訪れる人が増え、以前なら渡航が難しかった国や地域の訪問もハードルが下がってきています。2020年には東京オリンピック・パラリンピックも控えているので、外国から訪れる人はさらに増えてくるでしょう。

 日本と海外の行き来がしやすくなったということは、それだけ感染症にかかるリスクも高くなっているということです。衛生環境が整った日本で暮らしているとあまり意識しませんが、世界では様々な感染症が流行しています。海外へ渡航する前には、厚生労働省検疫所が開設している「FORTH」のホームページなどで、訪れる国や地域で発生している感染症の状況や予防法などの情報を知っておくことが大切です。

海外渡航時に特に気をつけたい感染症にはどんなものがありますか。

デング熱など蚊を介する感染症の予防には、虫よけ剤の使用も重要。写真はイメージ=(c)suwinai sukanant-123RF

 最近では、蚊が媒介する「デング熱」が増えています。デング熱は日本国内でも2014年の夏に東京の代々木公園を中心に流行し162例の国内感染報告がありました。しかし、世界では毎年1億人程度が、デング熱を発症しているといわれています。

 日本では蚊が発生する時期は夏が中心ですが、亜熱帯・熱帯地域などでは1年中発生しています。しかも、デング熱を媒介するヒトスジシマカやネッタイシマカは都市部にも存在するので、街中を観光中にも感染するリスクがあります。

 特にフィリピンでは今年、全土にデング熱が拡大していて、7月にはフィリピン保健省が全国に警告宣言を出しています。共同通信の報道によればフィリピン保健省は、2019年1月から7月27日までに感染者が約16万8000人となり、700人以上の死亡者が出ていると発表しました。

デング熱を発症すると、どのような症状が表れますか。

 デングウイルスをもつ蚊に刺されて感染し、デング熱を発症する場合には、1週間前後の潜伏期間の後、40度程度の高熱が出て、頭痛や関節痛などの症状が表れます。熱は数日で下がりますが、その過程で発疹も見られます。また、デング熱に似た疾患に「ジカウイルス感染症」「チクングニア熱」があります。

ジカウイルス感染症は、ジカ熱とも呼ばれるものでしょうか。

 はい、以前はジカ熱と呼ばれていました。ジカ熱もチクングニア熱も、ウイルスをもつ蚊に刺されることで感染し、発症すると熱や発疹が出ます。ただ、ジカ熱は感染しても症状が出るのは5人に1人程度といわれ、高熱はあまり出ません。そのため、現在ではジカウイルス感染症とするのが一般的になっています。ジカウイルス感染症は症状が軽いといっても、妊婦が感染すると、通常と比べて頭の小さな小頭症の子どもが生まれるリスクがあります。

 チクングニア熱はデング熱と同様に高熱が出ますが、関節の痛みが強く出ます。歩行が困難になることもあり、チクングニア熱が治ったあとも、関節痛が残る場合があります。デング熱、ジカウイルス感染症、チクングニア熱は症状だけで鑑別するのは難しく、検査をしてみなければ分かりません。

 また、これらの疾患と同様に、蚊に刺されて感染し、発症すると高熱が出る感染症に「マラリア」があります。マラリアは病原体によって4つの種類がありますが、そのうち「熱帯熱マラリア」の場合は、早期に診断、治療をしないと重症化し、死に至ることもあります。マラリアはデング熱などより潜伏期間が長く、熱帯熱マラリアの場合は1~2週間程度、そのほかのマラリアでは1週間から1カ月程度あるため、帰国時には症状がなく、しばらくして発症してもマラリアと気づかないこともあります。

発熱に注意すべき他の感染症は?

デング熱やマラリアに感染するのを防ぐには、どのような対策が有効ですか。

 マラリアには予防薬があるので、アフリカや中南米などマラリアの流行地に渡航する場合は、海外渡航者を対象としたトラベルクリニックや、感染症科など海外渡航における感染症を扱っている医療機関を受診して、処方してもらうといいでしょう。ただし、予防薬を服用していても、感染するリスクはあります。

1/2 page

最後へ

次へ

  • facebookでシェア
  • Twitterにツイート

PR

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

FEATURES of THEMEテーマ別特集

テーマ別特集をもっと見る

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

PC表示

NIKKEICopyright © 2019 Nikkei Inc. All rights reserved.