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Dr.今村の「感染症ココがポイント!」

海外旅行前に必読の「感染症対策」 サラダ、氷、動物に注意を!

海外渡航前には、渡航先の感染症情報のチェックを

 田村知子=ライター

 2015年に韓国でも流行した中東呼吸器症候群(MERS)は、中東地域を訪れた1人の男性から感染が拡大しました。MERSを引き起こすコロナウイルスは、中東地域のヒトコブラクダが主な発生源となっているので、中東地域を訪れる際はラクダとの接触を避け、ラクダの未加熱肉や未殺菌乳なども口にしないよう注意します。

 日本では狂犬病は輸入感染症となっており、それも2006年にフィリピンへの渡航者が帰国後に発症した事例以来、10年以上発生報告はありません。ただし、日本やオーストラリア、ニュージーランドなどの一部の国や地域を除いては、世界中で発生していて感染のリスクがあります。狂犬病は発症すると、ほぼ100%死亡する恐ろしい病気です。

 狂犬病という名前から、犬にかまれなければ大丈夫だと思われがちですが、狂犬病のウイルスは犬に限らず、コウモリやアライグマをはじめとする多くの哺乳動物の唾液に含まれています。従って、野生の動物や鳥にもむやみに触れないようにしてください。

帰国後、2週間程度は下痢、発熱、発疹などに注意

感染症にかかると、どのような症状が表れますか。

 感染症の種類によって、感染してから発症するまでの潜伏期間や、出現する症状も様々なので一概には言えませんが、数日から2週間以内が多く、病気によっては1カ月以上で発症するものもあります。代表的な症状は、下痢、発熱、発疹で、腹痛や嘔吐(おうと)などを伴うこともあります。

 日本でも流行したデング熱を一例として挙げると、ウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されて発症する場合は、1週間程度の潜伏期間のあと、40度程度の高熱が出て、頭痛や関節痛などの症状が表れます。その後、数日で解熱し、回復していく過程では発疹が見られます。デング熱患者の一部は重症化することがあり、まれに死亡することもあります。

 狂犬病はウイルスを保有する動物にかまれたり引っかかれたりすることで感染し、脳炎を発症すると、ほぼ100%死亡してしまいます。ウイルスは傷口から神経を介してゆっくり脳に向かうため、かまれる場所によって発症までの期間は異なります。例えば、手をかまれたときには、発症までに数カ月かかることもあります。

海外渡航後に下痢、発熱、発疹などの症状が表れた場合、どのように対応すればよいでしょうか。

 まずは、海外渡航後の感染症に対応しているトラベルクリニックや感染症科のある医療機関に連絡をしてください。先ほどご紹介したFORTHの「海外渡航者向けの予防接種実施機関(検索)」で検索できる医療機関では対応が可能だと思いますが、最寄りの医療機関が見つからない場合などは、保健所に連絡をして相談してもいいでしょう。そして、渡航した国や地域、渡航期間、症状が表れた時期、症状の経過や現状を伝えます。専門の医療機関であれば、それらの情報から感染の有無を判断しやすくなります。

 感染症の可能性があり、受診を指示された場合は、マスクを着用する、一般とは違う窓口で受付をするなど、受診の方法も確認してください。いきなり受診してしまうと、感染を拡大させる恐れがあります。

海外から持ち込まれる感染症にも気をつけて

今村先生は、麻疹など海外から持ち込まれる輸入感染症への注意も呼びかけていらっしゃいますね。

 近年は海外からの旅行者が増え、これからは東京オリンピック・パラリンピックの観戦者などさらに多くの人が日本を訪れます。そうしたときには、海外から様々な感染症が持ち込まれるリスクも高くなります。

 例えば、東京オリンピックは日本では真夏に開催されることになりますが、季節が冬となる南半球の国や地域から訪れる人によって、インフルエンザが拡大する可能性もあります。さらに、東南アジアでは1年を通じてインフルエンザが発生しているので、季節を問わず注意する必要があります。

 今後は海外でも日本でも、感染症に関する正しい知識と対応を知っておくことが、ますます大切になってくるでしょう。

今村顕史(いまむら あきふみ)さん
がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長
今村顕史(いまむら あきふみ)さん 1992年浜松医科大学卒業。駒込病院で日々診療を続けながら、病院内だけでなく、東京都や国の感染症対策などにも従事。日本エイズ学会理事などの様々な要職を務め、感染症に関する社会的な啓発活動も積極的に行っている。自身のFacebookページ「あれどこ感染症」でも、その時々の流行感染症などの情報を公開中。都立駒込病院感染症科ホームページ(http://www.cick.jp/kansen/)。

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