海外旅行前に必読の「感染症対策」 サラダ、氷、動物に注意を!
海外渡航前には、渡航先の感染症情報のチェックを
田村知子=ライター
気になる感染症について、がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長の今村顕史さんに聞く本連載。今回のテーマは「海外渡航と感染症」。近年は日本から世界各国へ渡航する人が増え、海外からも多くの外国人旅行者が日本を訪れるようになっている。海外渡航がより身近になった今、感染症から身を守るための情報を知っておくことが必要だ。特に、夏休みに海外旅行を予定している人は、事前に必要な準備や現地での対策、帰国後の体調不良が現れた場合の対応について心得ておきたい。

【ココがポイント!】
- 海外渡航前には、渡航先の感染症情報を余裕を持って調べておく
- ワクチンで防げる感染症は、免疫が十分でなければ予防接種を
- 衛生状態の悪い地域では、生水や氷、サラダなど生の食べ物に注意
- 肉や魚介類を食べるときは、十分加熱したものを
- 蚊やダニに刺されないよう、肌の露出は少なめに。蚊は効力の高い虫よけ剤で防御する
- 野生の動物や鳥にはむやみに触れない
- 帰国後に体調不良を感じたときは、トラベルクリニックや感染症科のある医療機関に連絡をしてから受診を
- 日本国内でも、海外から持ち込まれる輸入感染症への注意が必要
事前に渡航先の感染症情報を調べておこう
お休み期間中に、海外旅行を予定している人も多いと思います。そこで今回は、「海外渡航と感染症」をテーマにお話を伺います。
世界では様々な感染症が流行しています。2018年の春に沖縄から感染が広がった麻疹(はしか)は、台湾からの旅行者により持ち込まれました。この連載の第1回「感染力強い『はしか(麻疹)』。流行繰り返さないために予防接種を」で解説した通り、日本の麻疹は2015年から、3年以上国内由来の発生がない「排除状態」となっています。しかし、海外ではいまだに流行している国や地域があり、特に報告数が多いのは、中国、インド、モンゴル、パキスタン、ナイジェリアなどです(*1)。最近では、日本人観光客もよく訪れるフランスやイタリアなどのヨーロッパ諸国でも流行が見られています。
日本と衛生環境が大きく異なる地域では常に感染症のリスクがありますし、亜熱帯・熱帯地域などでは日本では見られない感染症も多く存在します。海外へ渡航する前には、訪れる国や地域で発生している感染症についての情報を知っておくことが必要です。
自分が訪れる国や地域で流行している感染症などの情報は、どのように入手すればいいでしょうか。
お勧めできるのは、厚生労働省検疫所が開設している「FORTH」のホームページです。FORTHでは海外の感染症の最新動向や予防法などについて情報提供を行っています。
トップページに示されている世界地図から渡航を予定している地域を選択すると、現地の感染症の流行状況や気をつけたい感染症についての情報をはじめ、接種しておきたいワクチンの情報なども示されています。
ワクチンで防げる感染症は予防接種を
海外渡航前には、予防接種を受けておいたほうがよいのでしょうか。
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