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Dr.今村の「感染症ココがポイント!」

感染力強い「はしか(麻疹)」。流行繰り返さないために予防接種を

妊婦が感染すれば、流産や早産などを招く可能性も

 田村知子=ライター

 麻疹がよく発生していたかつては、医療機関でも検査をせずに、麻疹のような症状から麻疹だろうと判断されることがありました。また、「三日はしか」と呼ばれた風疹を、家族や本人が麻疹だったと思い込んでいる場合などもあります。ですので、できれば母子手帳の予防接種歴を確認してほしいと思います。

 また、ワクチンを2回接種していても、十分な免疫がつかない人もわずかにいます。ただ、そうした人が麻疹を発症したときは、「修飾麻疹」と呼ばれる軽い症状だけで終わることがほとんどで、ほかの人への感染力も低いようです。

 逆に、麻疹に感染したことがなく、これまでに予防接種をしたことがない人や、予防接種をしたことはあっても1回だけの人は、免疫がないか十分ではないため、ワクチン接種が必要です。予防接種については、以下を参考にしてください。

【1977年以前に生まれた人】
予防接種が定期接種ではなく、自然に感染して免疫のある人とない人が混在しているので、できれば母子手帳で確認
【1978年から1990年に生まれた人】
定期接種が1回だったため、2回目の接種が必要
【1991年以降に生まれた人】
定期接種が2回になっているので、基本的には接種は不要

 ただし、妊娠中やその可能性がある人、高度な免疫不全のある人などは、ワクチンを接種することができません。その場合は、家族など周囲の人がワクチン接種を徹底して、感染のリスクを下げることが大切です。

 なお、ワクチンを接種してから免疫がつくまでには、約2週間かかります。海外旅行前などは、その期間の考慮も必要です。

麻疹が疑われるときは本人はマスク着用を

「麻疹かもしれない」と思ったときには、どうすればいいでしょう。

「感染したかも」と思った人は、病気の拡散を少しでも防ぐためマスクをつけよう。写真はイメージ=(c)liza5450-123RF

 麻疹は空気感染です。「空気感染だからマスクでは予防できない」といわれますが、発症した本人がマスクをつけると、ある程度は病気の拡散を防ぐ効果があります。ですので、風邪のような症状があり、2~3週間以内に麻疹が発生した場所を訪れたり、麻疹を発症した人と接触した可能性があったりするときは、マスクを着用しておくといいでしょう。

 高熱や発疹が出て、麻疹が疑われたときは、最寄りの保健所か医療機関に電話をして相談し、指示を受けるようにしてください。そのまま受診してしまうと、移動中や医療機関で感染を広めてしまう恐れがあります。

発生していないときにこそ対策を

最後に、今後、流行を繰り返さないために大切なことを教えてください。

 麻疹の流行時にはみなさんの関心が高まりますが、収束してくると、その関心も薄れていきます。しかし、海外からの旅行者が増えている中、いつまた流行が起きてもおかしくありません。麻疹の流行を繰り返さないためには、発生していないときにこそ、積極的にワクチンを接種して備えておくことが大切です。

 麻疹はその昔は「命定め」と呼ばれたほど、危険な感染症として知られていました。現在でも、麻疹を発症してからウイルスを抑えるような治療薬はなく、発症すれば肺炎や中耳炎、脳炎などの合併症を起こす恐れがあります。また、妊婦が感染すれば、流産や早産、死産を招く危険があり、ごくまれには感染から数カ月、数年とたっていくうちに、脳炎の症状が表れる亜急性硬化性全脳炎(SSPE)を発症することもあります。

 今後、麻疹の流行や発生が落ち着いても、予防のための対策を継続し、社会全体で麻疹が流行しにくい環境をつくっていくことが求められます。

(図版作成:増田真一)

今村顕史(いまむら あきふみ)さん
がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長
今村顕史(いまむら あきふみ)さん 1992年浜松医科大学卒業。駒込病院で日々診療を続けながら、病院内だけでなく、東京都や国の感染症対策などにも従事。日本エイズ学会理事などの様々な要職を務め、感染症に関する社会的な啓発活動も積極的に行っている。自身のFacebookページ「あれどこ感染症」でも、その時々の流行感染症などの情報を公開中。都立駒込病院感染症科ホームページ(http://www.cick.jp/kansen/)。

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