日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様

日経 Gooday

ホーム  > 医療・予防  > Dr.今村の「感染症ココがポイント!」  > はしか感染、さらに拡大の恐れ 流行地域以外でも注意を  > 2ページ
印刷

Dr.今村の「感染症ココがポイント!」

はしか感染、さらに拡大の恐れ 流行地域以外でも注意を

過去10年間を含めても最多ペースで急増

 田村知子=ライター

 麻疹は免疫がない人が感染すれば、ほぼ100%発症します。ただ、感染しても10~12日間は症状が出ない潜伏期間があり、発症から5日間程度の「カタル期」には鼻水やくしゃみ、咳、喉の痛みといった風邪のような症状しか出ません。この時期に麻疹ウイルスに対する抗体検査を受けたとしても、まだ抗体価の上昇は見られないことが多いため、初期に麻疹と診断するのは極めて難しいといえます。しかも、カタル期が最も感染力が強いので、「風邪かな?」などと思っているうちに、感染を広げていってしまうのです。

発疹が現れる前の「カタル期」が最も感染力が強い。原画=(c)captainvector-123RF
[画像のクリックで拡大表示]

麻疹感染後は、他の感染症も発症しやすくなる

風疹では免疫のない女性が妊娠初期に感染すると、生まれてきた子どもに難聴や白内障などが生じる先天性風疹症候群を発症する可能性があるといわれますが、麻疹でも重症化するケースはありますか。

 麻疹の場合は、感染した本人にとっては、麻疹の方が重症となるリスクが高く、脳炎や肺炎で死亡することもあります。乳幼児が感染すると、数カ月、数年とたっていくうちに、知的障害、性格変化、脱力発作、歩行異常などの症状が進行していく亜急性硬化性全脳炎(SSPE)をまれに発症することもあります。妊婦が感染すれば、流産や早産、死産を招く危険もあります。

 また、麻疹に感染すると、免疫力が低下します。麻疹の症状が回復しても、数カ月から長ければ1年程度、免疫力が下がったままの状態が続くこともあり、他の感染症にかかりやすくなります。

流行時に発熱や発疹があれば、麻疹を疑って行動を

感染初期には本人が麻疹と気づいたり、医療機関で麻疹と診断するのは難しいということですが、感染しない、感染を広げないためにはどうすればいいでしょうか。

 麻疹に感染したことがなく、これまでに予防接種をしたことがない人や、予防接種をしたことはあっても1回だけという人は、免疫がないか十分ではないため、ワクチンを接種しておくことが最も有効な感染予防策になります(ワクチンについては以前の記事『感染力強い「はしか(麻疹)」。流行繰り返さないために予防接種を』を参照してください)。

 風邪のような症状があり、2~3週間以内に麻疹が発生した場所を訪れたり、麻疹を発症した人と接触した可能性があったりするときは、感染している可能性があります。

 ただ、現在のように、二次感染、三次感染と拡大しているときには、身近に麻疹に感染した人がいなくても、いつ、どこでウイルスにさらされているか分かりません。高熱や発疹が出てきたときには、麻疹と疑って行動した方がよいでしょう。その際は、最寄りの保健所か医療機関に電話をして相談し、指示を受けるようにしてください。そのまま受診してしまうと、移動中や医療機関で感染を広めてしまう恐れがあります。

 特にこれからは、学生の春休みや社会人の異動・転勤などで、人の移動が増える時期です。ゴールデンウイークは10連休になる企業もあり、海外旅行へ出かける予定の人も多いでしょう。麻疹の流行がさらに拡大する恐れがあることを念頭に置いて、注意してほしいと思います。

(図版作成 増田真一)

今村顕史(いまむら あきふみ)さん
がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長
今村顕史(いまむら あきふみ)さん 1992年浜松医科大学卒業。駒込病院で日々診療を続けながら、病院内だけでなく、東京都や国の感染症対策などにも従事。日本エイズ学会理事などの様々な要職を務め、感染症に関する社会的な啓発活動も積極的に行っている。自身のFacebookページ「あれどこ感染症」でも、その時々の流行感染症などの情報を公開中。都立駒込病院感染症科ホームページ(http://www.cick.jp/kansen/)。

先頭へ

前へ

2/2 page

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 青魚のDHAやEPAで、血管を若返らせて、メタボも抑制!

    サバ、イワシなどの「青魚」の健康効果が注目されている。青魚にたっぷり含まれるDHAやEPAは、血管を若返らせ、メタボを抑制したり、認知症のリスクを下げる効果も期待できる。手軽に食べられる「サバ缶」や「イワシ缶」も人気で、カルシウムもしっかりとれるため、骨粗鬆症の予防にもなる。

  • 老化を左右する血管! 若返りのポイントは?

    体の中に縦横無尽に張り巡らされた「血管」をよい状態に保つことは、健康を維持するため、そして老化を防ぐために極めて重要だ。では、強い血管をキープし、老化した血管を若返らせるには、何をすればいいのだろうか。本特集では、2万例を超える心臓・血管手術を手がけてきたスペシャリストに、血管の若さを維持する秘訣と、血管を強くする運動法・食事法を聞いていく。

  • つらい「肩こり」は動的ストレッチで解消!

    肩こりの原因の大半は、生活習慣。すなわち、不自然な姿勢で過ごすことや、たとえ良い姿勢であっても長時間続けてしまうことが、首や背中の筋肉を緊張させ、筋疲労を引き起こす。この記事では、肩こりに関する記事の中から重要ポイントをピックアップして、肩こりの解消方法をコンパクトに紹介していく。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2019 Nikkei Inc. All rights reserved.